武士はなぜ腹を切るのか?
赤穂浪士の討入りは主君のためだけではない!
参勤交代は超高速が当たり前?
薬の値段はどれくらい?
学問は個人の出世のためではなかった!
ドラマや小説ではわからない江戸時代の真相!
本書は、江戸時代の武士と町人たちの実像を、当時の文書(もんじょ)から蘇らせ、人々が幕藩体制という社会制度のもと、どのように暮らし、どのような課題を抱えていたかを、江戸学の第一人者山本博文東大教授が、わかりやすく解説した書籍である。
江戸時代については、家康から幕末期の慶喜まで、映画やテレビ、小説などで様々に描かれているが、どうしても現代劇的な面が強調され、嘘とまではいかないが、真相とずれている内容が見受けられる。
例えば、有名な忠臣蔵の討入りは主君のためだけに行われたわけではない。
背景には討入りをしなければならなかった武士としての理由があった。
著者はわかりやすい文章でその背景を鮮やかに導き出して見せる。
また、現代の人々は参勤交代というと「下に、下に」という厳格な面しか思い浮かべないが、どうもそうでもないらしい、ということを著者は教えてくれる。
本書の面白さはここにある。
この一冊から、教科書には書かれていない江戸時代が次々と出てくる楽しさを味わってほしい。
【参考】
江戸時代、人々は武士と百姓・町人という身分に大きく分けられていた。江戸時代後期の人口は推定約3200万人。構成は武士約7%、町人約5%、百姓約85%、その他約3%である。
大坂夏の陣を最後に戦乱は止み、平和な時代が続くようになる。武士は公務員化し、戦で功を立てることは不可能なため、出世コースに乗ることが大きな目標となる。町人たちの多くは、貧富の差に関係なく、日々楽しく暮らすことを第一として生きるようになる。学問の世界では、自由闊達な雰囲気のもと様々な研究が登場し、最先端の「知」が江戸に花開く。学びは庶民にまで広がり、現代に繋がる学問の基礎が築かれたのも江戸時代である。