世界の先進企業は、すでに別のルールで戦っている。
生成AIの登場によって、資本の意味そのものが変わり始めた。「Innovation Nippon」の研究代表として日本の生成AI利用の実態を追い続けてきた経済学者が、国内外の事例と独自調査をもとに、AI資本主義の全体像と日本企業の進むべき方向を描き出す。
◆道具としてのAIから、資本としてのAIへ
差を生んでいるのは、資産の量そのものよりも、変化に合わせて事業構造を組み替える力である。AIを導入するかしないかという単純な話ではない。AI時代のルールに合わせて、顧客との接点、価値の生み方、収益の回収の仕方を一体として設計し直せるかどうかにかかっている。
この本で目指したいのは、AIをめぐる過度な楽観や悲観ではない。重要なのは、変化の大きさに圧倒されることでも、流行に飛びつくことでもなく、自社や自分の仕事をどう設計し直すかを見極めることである。AIは単なる効率化の道具にとどまらない。しかし、人間を不要にする存在としてだけ捉えるのも適切ではない。人とAIがどう組み合わさり、協働することで新しい価値を生み出せるのか。その道筋を示すことが、本書の目的である。
AI資本主義とは、遠い未来の話ではない。いま、目の前で起きている変化であり、その影響は企業経営から家庭の会話に至るまで、想像以上に広い。
◆目次
はじめに 「データ」から「AI」へ 変わる世界のルール
第1章 既存ビジネスの崩壊と「AI資本」の誕生
第2章 新時代の覇権を握る「FASTモデル」の正体
第3章 FASTモデルが変える世界のビジネス最前線
第4章 最新データが明かす「生成AIと日本」のリアルな現在地
第5章 日本企業はなぜAIを実装できないのか 生き残るための組織改革と人間力
終章 AI時代に、人間は何を高度化すべきか