「社会善としてのAI」とは何か
米イェール大学デジタル倫理センター教授の世界的権威が、
AIと共存するための社会構想と行動基準を提示する。
これまでAIを含むデジタル技術に関する経営者の関心は、それらをいかに活用して利益を最大化し、ビジネスを成長させるかにありました。人材や組織をどう見なおし、変革を定着させるかも重要なテーマでした。しかし、日々高度化するAIは、私たちにより本質的な問いを投げかけています。
「AIは人間の価値観や社会の秩序をどのように変えていくのか?」
「企業は、変化する社会においてどのような役割を果たしていくべきか?」
「人間とAIの共生において、人間らしさとは何か、そしてそれをどう守るのか?」
「急速に進歩する技術に対して、私たちはどのような原則をもって対処すべきか?」
こうした問いに向き合うことが、いまや不可欠になっています。
私自身、AI導入やデジタル変革を進めるなかで、AIガバナンスやデジタルレギュレーションに関する判断軸の必要性を痛感してきました。AIの回答の透明性や説明責任、アルゴリズムのバイアス、個人情報の扱い、そして社会や環境への長期的影響――これらは技術や経済の視点だけでは十分ではありません。「人間とAIの関係」における、哲学的な視点が不可欠なのです。(「訳者まえがき」より)