【経営学者・楠木建 推薦】
信用第一――普遍にして不変の商売の原理原則だ。
信用醸成の前線を担うPRが企業価値の向上に果たすべき役割を解き明かす。
広報・PRは大事だと思うが、結局どんな価値貢献をしているのか。
どこまでやれば十分と言えるのか。
その効果を、経営の観点でどう測ればよいのか。
どのような人材を採用し、どのような観点で評価すべきか。
経営者と人事責任者が抱くこの四つの問いに、研究者・実務家8名との対話と調査データで答える一冊。
企業価値、採用、エンゲージメント、投資家との対話。いま経営が向き合う課題は、いずれも広報・PRが長年扱ってきたテーマと重なります。それでも広報・PRは、「重要だとは思うが、経営効果が見えにくい活動」と受け止められがちです。
楠木建氏が説くとおり、結果の優劣を示す最上の尺度は長期利益です。そして長期利益は、顧客、従業員、株主、社会との信頼関係がなければ成り立ちません。その信頼は、経営の意思が伝わってはじめて築かれます。ところが、人的資本を「発信している」と答えた企業が88・4%に及ぶ一方、人的資本も社会・関係資本も認識していない個人投資家は61・5%でした。開示は情報の「発信」であり、理解の形成はその先にあります。
本書は、部門に散らばる非財務情報を経営の文脈で「翻訳」し、一つのストーリーに「編集」する経営機能として、広報・PRを捉え直します。研究者と実務家8名へのロングインタビュー、日本広報学会の経営者インタビュー調査、個人投資家3680人への調査、PRアワードの受賞事例をもとに、四つの問いに答えます。
■四つの問いへの答え
①価値貢献:企業の実態と社会の期待とのあいだの距離を縮めること。その積み重ねが、人材、取引、資本市場からの信頼へと波及する。
②十分さの基準:開示の量ではない。経営が重視するステークホルダーを決め、一貫した説明ができているかどうか。
③効果の測り方:「届いたか」「相手は変わったか」「利益やROEにどうつながりうるか」の三段階で示す。
④求める人材:露出量や知名度では測れない。社外の声を経営の論点に変える力、散らばる情報を一つの説明にまとめる力、成果を経営の言葉で説明する力、語った内容の正確性に責任を負う力の四つ。
結論は序章に先に示しているため、関心のある問いから読めます。巻末の自社点検シートと職務要件マップは、経営会議や採用・評価の検討にそのまま使えます。
■収録インタビュー(掲載順)
河炅珍(國學院大學教授)/林直樹(江戸川大学教授)/国枝智樹(上智大学准教授)/保田隆明(慶應義塾大学教授)/田上智子(PRアワード審査委員長)/阪井完二(企業広報戦略研究所所長)/駒橋恵子(東京経済大学教授)/井上洋一(弁護士)