脊椎転移パーフェクト診療

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脊椎転移パーフェクト診療
  • 発売日:2020/08/21
  • 出版社:南江堂
  • ISBN:9784524226047

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脊椎転移パーフェクト診療

脊椎転移パーフェクト診療

通常価格 6,380 円(税込)
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  • 発売日:2020/08/21
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商品説明
日本整形外科学会が推進する「がんロコモ」をキーワードに,診断・治療・リハビリテーション・緩和ケアなど,脊椎転移診療のすべてを網羅した.単なる診断・治療本ではなく,診療体制に応じたアプローチの方法や脊椎転移に併存する疾患の診療,原発巣を治療する各種がん専門医による整形外科医へのメッセージも収載し,状況に応じた診療のノウハウが分かる.看護師,PT,OTなど,脊椎転移診療の臨床現場に携わるメディカルスタッフにも大いに役立つ一冊.
目次
【書評】
 日常診療において,転移性骨腫瘍患者について相談を受ける機会は日々増えている.今から20 年以上前に研修医をしていたころは,転移性骨腫瘍治療は緩和ケアとしての除痛のため,放射線照射のみで終わりにしていたように思う.予後が限られており,手術適応なしとされることが多かった.しかしながら特にここ数年は大きく状況がかわっている.当センターは埼玉県にあるが,県外から多くの転移性骨腫瘍例が手術目的で紹介されてくる.理由の多くは「とにかく迅速に移動可能にしてほしい」とのことである.このように積極治療が求められるようになったことにはいくつかの理由があると思われる.一つにはがん患者の生命予後が飛躍的に延びており,担がん状態で長期生存する患者数が増加していることにあるであろう.そして,骨という運動器が障害されると移動が困難になり,治療続行性が妨げられるからであろう.さらには,治療戦略がいまだ揺籃期にあり成熟したプロトコールなどないことから,骨・軟部悪性腫瘍に慣れている施設に県を超えてでも紹介して何とかしようということになるものと思われる.とはいえ,年間新規がん患者発生数が100 万人前後で推移し,本書によるとがん患者の10~20%に転移性骨腫瘍が発生するとのことである.がん患者の生命予後が延びている中で脊椎転移は今後も増加することは確実であろう.さらに,がん診療においては脊椎転移のみならず,変形性脊椎症など骨シンチグラフィやPET‒CT でhot spot として描出されるため,転移と誤診される周辺疾患にも気を配る必要がある.さらには治療に起因した二次性骨粗鬆症による椎体骨折や,非定型大腿骨骨折,顎骨壊死など各科連携のうえ,治療のさじ加減を考えていく必要がある.

 このように転移性骨腫瘍に対する積極診療の必要性が高まっている今,本書はまさに時代から必要とされている一冊である.編集されているのは転移性骨腫瘍診療を第一線で常に率いてきた髙木辰哉先生である.髙木先生が編集されただけあって実臨床において知りたいことが網羅されている.つまり,パーフェクト診療と銘打って編集された本書には,パーフェクトである理由がある.

 脊椎転移の治療において放射線療法と手術療法について記載されているのはもちろんであるが,リハビリテーション科の医師や理学療法士,作業療法士の立場からだけでなく,在宅,転院,就労へのアプローチまで記載されている.このように治療体系が俯瞰されていることは非常にありがたい点である.整形外科医の立場としては手術が無事終わったところでいったん役目は終了したと思いたいが,実臨床ではそのようにはいかないことが多い.脊椎転移が終末期の短期間に発生する現象ではなく,年単位で持続する慢性疾患としての病態になってきているからである.診断や手術,経過観察をどのように主科と連携していくかについて本書を携えて俯瞰できることは大いに心強い.

 また,脊椎転移と誤診されたり,思い込まれたりする疾患や治療に起因した二次性骨粗鬆症による椎体骨折,非定型大腿骨骨折,顎骨壊死治療にも頁を割いていることも見逃せない.脊椎転移を有する方は変形性脊椎症や骨粗鬆症による椎体骨折を罹患していることもある.そのために活動レベルが制限されていることもある.また,脊椎転移治療における合併症の対処法が網羅されていることは,ただ単に対応が容易になるだけではなく治療選択においても治療説明においても重要である.つまり,慢性疾患として長期に脊椎転移診療をチームとして行ううえで,これらの併存疾患や病態,合併症に対して適切に対処できることは治療を円滑にすすめるだけでなく,患者の幸せに多いにつながる.

 本書は整形外科やがん診療に携わる医師だけでなく,広く医療従事者におすすめしたい良書である.

臨床雑誌外科72巻4号(2021年4月号)より転載
評者●秋山 達(自治医科大学附属さいたま医療センター整形外科教授)


【序文】
 編者が骨転移を診るようになったのは、1992年に栃木県立がんセンターのレジデントの門をたたいたときからである。当時は骨転移患者のほとんどが寝たきりとなっており、担当のがん治療医が病室を避けるようになっていくのを目の当たりにしてきた。上司であった矢澤康男先生には大変お世話になり、骨転移についても教えていただいたが、当時はできることも限られていた。無力感とやりきれない気持ちが残り、いつかどうにかしたいと思ったものである。

 2002年に静岡がんセンターへ移り、骨転移診療に積極的な高橋満先生や、本書で執筆もされている片桐浩久先生や原田英幸先生らと出会えたことは幸運であった。その後、骨修飾薬の登場があり、がん診療の進歩による生命予後改善と、骨転移に対する画像診断、放射線治療、外科的治療の進歩と続き、編者は2011年から順天堂大学で骨転移キャンサーボードである骨関連事象カンファレンス「SREC」を開催するに至っている。2014年には編者と慶應義塾大学の大森まいこ先生・辻哲也先生編集で「骨転移の診療とリハビリテーション」を刊行した。その後、中田英二、酒井良忠、城戸顕、大島和也、篠田裕介の各先生達との出会いがあり、日本骨転移研究会が発足となった。2015年には日本臨床腫瘍学会から「骨転移診療ガイドライン」が出版され、2016年には「がんの骨転移ナビ」という書籍も出されている。

 2018年に日本整形外科学会は「がんロコモ」の概念を提唱し、骨転移に代表されるがんそのものによる運動器の問題に加えて、がんの治療によって起きる運動器の問題や、がんに併存する運動器疾患なども含めて整形外科医が積極的にかかわるべき、と打ち出した。編者と本書のI章を担当した帝京大学の河野博隆先生と東京医療センターの森岡秀夫先生は、ともに「がんロコモワーキンググループ」の仲間であり、骨転移について脊椎と四肢骨のそれぞれについて「がんロコモ」の視点を含めた書籍を、という構想が持ち上がってきた。河野先生からの推薦もあり、2019年1月に脊椎のがんロコモについての書籍を出したいと、南江堂の担当者さんからお話をいただいたのが本書を出すきっかけである。それから1年半が経過してしまい、だいぶ難産になったが、ようやく刊行に至ることができた。
 本書の特徴のひとつとして、執筆者らになるべく自由に書いていただこうとしたので、各項目で執筆者の個性が出せたと思っている。その反面、全体のなかで記述に矛盾する点が出たり、重複、不足と思われる項目などは当然ある。それを含めて執筆者の書いたもの、すなわち現在進行形の脊椎転移・脊椎がんロコモについてを、肌で感じとっていただきたいと思っている。また、読者に必要と思われるところを選択して読んでいただいてもよいであろう。至らぬ点があれば、それは編者の責任であり、ここでお詫びを申し上げたい。

 その意味でも、本書の題名は「パーフェクト診療」としているが、当然パーフェクトではない。また、パーフェクトな診療などありえず、医療は日々進歩あるいは変化するものである。ただ、多くの医療者が遭遇し、そのあつかいに難渋する脊椎転移の診療や、それに伴って起きる問題とその対策、さらに脊椎転移を患った患者さんに真摯に向き合うことで見えてくるものを、様々な視点から執筆していただいた。本書の執筆を担当していただいた皆さんは、ほとんどが編者の友人・知人・先輩・同僚である。無理を言って執筆を引き受けていただいた方も多く、皆さんに支えられていることに感謝を述べたい。

 あらためて、脊椎転移とそれにかかわる諸問題について、インパクトがある書籍を世に出すことができたと思う。本書を手に取ってくださる医師をはじめとする多職種の方々に対して、大変参考になるであろうと自負している。

2020年7月
髙木辰哉


【内容目次】
I.がん診療と運動器障害
 1.がんとロコモティブシンドローム
 2.整形外科医とがん診療医
II.脊椎転移の診断
 1.背部痛とその鑑別診断
 2.脊椎腫瘍と変性や感染の違い-身体所見・血液所見
 3.脊椎腫瘍と他の脊椎疾患-画像所見
 4.原発不明で受診した場合のストラテジー
 5.生検と組織診断,遺伝子検索
III.脊椎転移の治療
 1.薬物療法-骨修飾薬
 2.薬物療法-鎮痛薬と鎮痛補助薬
 3.骨転移に対する画像下治療の可能性
 4.放射線療法-現状と未来
 5.重粒子線治療-原発性・転移性脊椎腫瘍に対して
 6.外科的治療-最小侵襲・後方除圧
 7.外科的治療-後方除圧固定+術中照射
 8.外科的治療-腫瘍脊椎骨全摘術(TES)
IV.脊椎転移の診療体制-それぞれの現場から
 1.予後予測を踏まえた脊椎転移の診療
 2.早期診断・早期治療による脊椎転移の麻痺予防と保存的治療
 3.骨転移キャンサーボードの利用
 4.脊椎転移への至適介入について
 5.脊椎転移のトータルケア
 6.地方中核病院でのアプローチ
V.脊椎がんロコモ-がん治療に伴う脊椎疾患とそれに関連した問題
 1.二次性骨粗鬆症-化学療法やホルモン療法による骨粗鬆症:その予防法と治療
 2.放射線脊髄炎・放射線骨炎
 3.廃用と筋筋膜性疼痛への対処
 4.脊椎転移治療後の問題
 5.非定型大腿骨骨折
 6.口腔ケア
VI.脊椎がんロコモ-がんと併存する脊椎疾患の診療
 1.がんと脊柱管狭窄症・椎間板症
 2.がんと椎体・椎間板炎
VII.各がん種治療医からの脊椎がんロコモに対するメッセージ
 1.肺がん治療医から
 2.乳がん治療医から
 3.泌尿器がん治療医から
 4.腫瘍内科医から
VIII.脊椎がんロコモのリハビリテーション
 1.リハビリテーション医
 2.理学療法士
 3.作業療法士
 4.装具療法と日常生活動作(ADL)指導
IX.緩和ケア・支持療法
 1.脊椎がんロコモと緩和ケア
 2.在宅・転院・就労へのアプローチ
 3.脊椎がんロコモに対する看護(看護師としてのアプローチ)
索引
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