【序文】
改訂第3 版の刊行にあたり,ご挨拶を申し上げます.
本書は初版刊行以来,5 年ごとに改訂を重ねて参りました.この間,呼吸器疾患の病態理解や治療は目覚ましい進歩を遂げ,診断技術や治療法の発展とともに,臨床を取り巻く環境も大きく変化してきました.こうした医学・医療の進展に伴い,従来の記載内容の一部が現状にそぐわない部分も生じて参りました.そのため,本書が常に最新かつ信頼できる情報を提供する書であり続けることを目指し,今回も全面的な見直しを行い,改訂第3 版として刊行する運びとなりました.
今回の改訂では,近年の呼吸器病学を取り巻く状況の変化を踏まえ,内容の更新と充実を図りました.とりわけ,新たに項目として加えたCOVID-19 は,世界的なパンデミックとして医療に多大な影響を及ぼし,呼吸器感染症の領域においても深い爪痕を残しました.現在もなお重要な疾患であり,その診断や治療に関する知見を整理し,本書に反映しております.
また,肺癌領域においては,分子標的治療や免疫療法の進展により治療体系が大きく変化し,ガイドラインの改訂も頻回に行われています.こうした日進月歩の進歩を踏まえ,関連する記載を見直すとともに,近年の呼吸器内科領域専門研修カリキュラムの変更にも対応した内容の整理を行いました.さらに,読者の利便性を高める観点から全体の構成と記述を整理し,必要な情報は十分に保持したうえで重複や冗長な部分を見直すことにより,書籍としてのコンパクト化にも成功し,全体で約100 ページの削減が可能となりました.
初版刊行からすでに10 年が経過しました.第2 版では執筆者の変更はほとんどありませんでしたが,今回の改訂では将来を見据え,執筆陣の世代交代も意識いたしました.呼吸器医学の次世代を担う若手・中堅の先生方にも新たに執筆に加わっていただいております.特に教育委員会の委員の先生方には,執筆のみならず査読にもご尽力いただき,本書の質の向上に大きく寄与していただきました.ご多忙の中ご協力いただいた執筆者ならびに教育委員会委員の皆様に,この場を借りて心より御礼申し上げます.
本書は,呼吸器専門医を目指す先生方が知識を体系的に整理し,必要かつ正確な情報を効率よく学ぶための書として編纂されております.しかしながら,その内容は試験対策にとどまるものではなく,専門医の先生方の日常診療の参考書として,また初期研修医や医学生の学習にも役立つものとなるよう配慮しております.
本書が多くの皆様にご活用いただき,日常診療の質の向上や学習の一助となれば,編者としてこれに勝る喜びはありません.本書が呼吸器病学のさらなる発展と,次世代の医師の育成に寄与することを願っております.
2026 年4 月
日本呼吸器学会教育委員会
委員長 金子 猛