民事紛争処理の基礎理論研究

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商品説明

著者が長年蓄積してきた、民事紛争処理の基礎理論研究が結実した理論書。法哲学・法社会学にも裏打ちされた基礎理論志向の業績は、民事訴訟という営みがなぜ正当化されるのかという関心に貫かれている。解釈論上の個々の局面に則して実地に落とし込みながら、民事訴訟法という規範、紛争解決という事柄を統一的に解き明かそうとする著作が並ぶ。

目次
第1部 なぜ民事訴訟は規範的に正統か

第1章 民事訴訟法理論の方法論について
 Ⅰ はじめに
 Ⅱ 民事訴訟法解釈論方法論の形式と限界
  1 民事訴訟法理論の方法論を語るとは、何を意味するか
  2 正当性・自律性・階層性の展開
  3 パラドックスの意義と表現形式
 Ⅲ 民事訴訟法理論の方法論における特徴
  1 規範理論と現象記述理論の関係
  2 民事訴訟における時間経過の問題
  3 民事訴訟法理論と実体法理論との関係形成
 Ⅳ おわりに

第2章 民事訴訟の目的論に対する現代思想的考察
 Ⅰ はじめに
  1 目的論を論ずる意味
  2 「現代思想的考察」の意味
 Ⅱ 従来の目的論
  1 予備的考察――概念と名称について
  2 諸説の分析
 Ⅲ 検 討
  1 内部/外部
  2 現在の理論状況
  3 形而上学と否定神学
  4 否定神学の可能性

第3章 民事訴訟とADRの目的論について
 Ⅰ はじめに
  1 規範理論としてのADR目的論
  2 規範理論としてのADR論の問題
  3 目的論の分析方法
 Ⅱ 目的概念の包摂機能
  1 包摂機能とは何か
  2 概念による制度包摂
 Ⅲ 目的概念の差異化機能
  1 差異化機能とは何か
  2 民事訴訟目的論における差異化機能
  3 自己決定説の検討
 Ⅳ 目的概念のパラドックス処理機能
  1 パラドックス処理機能とは何か
  2 自己決定説におけるパラドックス処理機能
 Ⅴ おわりに

第4章 ADRの正義に関する準備的考察
 Ⅰ はじめに
 Ⅱ ADRとその価値の現状
  1 ADRとは
  2 ADRにおけるこれまでの正義
  3 ADRにおけるこれまでの価値概念
 Ⅲ ADRの正義の限定
  1 法システムの正義とADRの正義
  2 ADRにおける自己決定
  3 ADRにおける自己決定の具体性
  4 紛争システムとADRの成立可能性
  5 紛争に時間を
 Ⅳ おわりに

第5章 日本におけるADRと、ADRにおける正義の機能
 Ⅰ はじめに
 Ⅱ 日本におけるADRの系譜・特徴
  1 裁判所による「和解」の重視
  2 司法型ADRの活用
  3 行政型ADR(相談機関)の活用
  4 民間型ADR
  5 近時の日本におけるADRの動向
  6 まとめ
 Ⅲ 検 討
1 ADR の設計と私的自治のマッピング
  2 mediation からの距離
  3 現代の紛争解決と自己決定
 Ⅳ おわりに

第6章 『誤った判決』に関する一考察
 Ⅰ はじめに
  1 本稿の理論的前提
  2 本稿の問題構成
 Ⅱ 既判力の本質
 Ⅲ 無効の訴えと原状回復の訴え
  1 議論の背景
  2 無効事由
  3 原状回復事由
  4 小 括
 Ⅳ 無効判決の一元的把握について
  1 加波説
  2 岡田説
  3 新堂説
 Ⅴ 判例について
  1 判 例
  2 再審理の許容性と再審理の中身
  3 法解釈の誤りに対する救済
 Ⅳ おわりに

第7章 いわゆる〈誤った判決〉をめぐる一試論
 Ⅰ はじめに
 Ⅱ 開門訴訟
  1 事案の概要(平成20年判決以前)
  2 第一審判決(佐賀地判平成20・6・27判時21 04号3 頁)
  3 控訴審判決(福岡高判平成22 年12 月6 日判時21 02号55 頁)
  4 控訴審判決確定
  5 検 討
 Ⅲ 開門判決に対する請求異議訴訟
  1 事実の経緯
  2 第一審
  3 控訴審
  4 上告審
  5 検 討
 Ⅳ 考 察
  1 開門訴訟原告にとっての「誤った判決」
  2 開門訴訟受訴裁判所にとっての「誤った」判決
  3 開門訴訟被告にとっての「誤った判決」
  4 請求異議訴訟受訴裁判所にとっての「誤った判決」
 Ⅴ おわりに

第2部 なぜ民事訴訟は社会に受け入れられるのか

第8章 任意的当事者変更について
 Ⅰ はじめに
 Ⅱ 任意的被告交替の趣旨・要件・効果
  1 趣 旨
  2 要 件
  3 効 果
 Ⅲ 当事者にとっての任意的当事者変更
  1 原告にとっての被告特定責任
  2 被告特定責任の現代的状況

第9章 密猟主体と第三の波
 Ⅰ はじめに
  1 本稿の問題意識
  2 本稿で用いる理論的な道具立て
 Ⅱ 民事紛争処理における人間像
 Ⅲ 外部参照の諸形式
  1 合理的主体と自省(パラドックスA)
  2 人間像と相互言及(パラドックスB)
  3 密猟主体の非対称性(パラドックスC)
 Ⅳ パラドックスの意義と可能性
  1 パラドックス分析の前提問題
  2 パラドックスの機能
  3 密猟主体と第三の波
 Ⅴ おわりに

第10章 当事者特定責任の諸問題
 Ⅰ はじめに
 Ⅱ 問題の概観
 Ⅲ 当事者特定に関する判例・裁判例の状況
  1 概 観
2 当事者特定を誤る理由
3 発覚時期と裁判所の判断
4 救済方法
Ⅳ おわりに
  【判例一覧】

第11章 裁判研究をとおして《法》を見る
 Ⅰ はじめに
 Ⅱ 本稿の立場
  1 「裁判」とは何か
  2 「裁判研究をとおして」とは何か
  3 本稿の立場
 Ⅲ 裁判研究とは何か
  1 裁判研究の対象
  2 目的と方法
 Ⅳ 裁判(の観察)は法にとって何であるか
  1 「法内の他者」としての裁判(見る)
  2 「法の窓」としての裁判(見つつ見られる)
  3 裁判における不可視=絶対的受動の可能性(見ずに見られる)
 Ⅴ 具体例

第12章 紛争当事者が真実を語るとはどのようなことか
  【提 題】
 Ⅰ 「自分が正しい」とは
 Ⅱ 真実証明の方法
  1 古代ギリシャ
  2 古代ローマ
  3 古ドイツ
  4 ドイツ民事訴訟法における裁判宣誓制度
  5 現代日本における「正しさ」の証明
 Ⅲ 真実を語ること
  1 真実の証明
  2 真実の機能
  3 真実の社会的擬制と、真実の社会的承認
 Ⅳ 真実を語る主体と、その受け容れ方
  1 問題の状況
  2 K の真実告発
  3 最高裁判所の応答

第3部 なぜ民事訴訟は動態性を持ちつつ安定的であり得るのか

第13章 民事訴訟法における「行為規範と評価規範」の意義
 Ⅰ 行為規範と評価規範
  1 本稿の主題
 Ⅱ 解釈論における「行為規範と評価規範」
  1 当事者確定理論
  2 遮断効理論
 Ⅲ 検 討
  1 動態性と考察方法
  2 本稿の分析枠組み
  3 「行為規範と評価規範」の問題分析
  4 問題の所在と対応
 Ⅳ 結 論

第14章 当事者主義的個別手続形成における動態性の問題
    ――審理契約論を手がかりとして
 Ⅰ 訴訟手続の個別化・動態化と審理契約論
  1 問題意識
  2 審理契約論
  3 審理契約論と「かかわりのプロセス」
 Ⅱ 審理契約論の成立可能性
  1 個別手続規範の正当性の所在
  2 審理契約の動態性は何を意味するか
 Ⅲ 審理契約論と「かかわりのプロセス」
  1 審理契約の締結可能性
  2 審理契約主体概念の変更
  3 当事者主義的審理過程規律における裁判所の位置づけ
 Ⅳ 結 語

第15章 訴訟上の例外事象に対する救済手続について
 Ⅰ はじめに
 Ⅱ 具体的解釈論問題における例外事象
  1 送達の瑕疵
  2 氏名冒用訴訟
  3 判決の不当取得
 Ⅲ 検 討
1 問題の所在
2 従来の学説
3 私 見
 Ⅳ おわりに

第16章 民事紛争の解決における時間の経過の意味
    ――瞬時の紛争解決の達成は理想か
 Ⅰ はじめに
 Ⅱ 本稿における理論モデル
  1 時間とパースペクティヴ
  2 系列化と変化
  3 複数の観察視点による相互観察
 Ⅲ 裁判の時間性、紛争の時間性、当事者の時間性
  1 裁判の時間性
  2 紛争の時間性
  3 当事者の時間性
 Ⅳ 紛争処理(制度設計)における多様な時間の顧慮
 
第17章 紛争処理プロセスと目的概念
 Ⅰ はじめに
 Ⅱ 紛争処理プロセスの目的概念――合目的的プロセス
 Ⅲ 目的概念への抵抗――「喪の作業」をめぐる紛争を例に
 Ⅳ 反目的的コンフリクトの「受難」
 Ⅴ 反目的的コンフリクトに対する応答可能性
  1 死者を原告とする訴訟
  2 命日払い判決
 Ⅵ 結論と課題

第18章 法は紛争解決を約束できるか
  【提 題】
 1 はじめに
 2 コンテクストをめぐる争い
 3 コンテクストと時間
 4 自己言及問題
 5 コンテクスト紛争の「解決」
 6 「法の前」・イルカ・論理階型
 7 コンテクスト紛争のマネージメント
 8 変化へのプロセスの可能性を高める

第19章 紛争処理において『待つ』ことの意義」
  【提 題】
はじめに
Ⅰ 事例1
 1 前提知識
 2 Yは「待ってよいか」
Ⅱ 事例2
 1 前提知識
 2 X・Yは「待ってよいか」
Ⅲ 事例3
 1 問題の所在
 2 Xらの「待つ」行為
 3 Yは「待ってよいか」
おわりに
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