民族学の歴史と現在
民族学と聞いて、遠い国の異文化や未開社会を研究する学問を思い浮かべる人は少なくないだろう。だが、19世紀末に成立した民族学は、20世紀以降、その対象も方法も大きく変化した。旅や探検、標本収集から始まり、植民地支配のもとで発展した民族学は、フィールドワークを重視する民族誌学へと展開し、さらに都市、移民、グローバル化、ポストコロニアリズム、現代社会の諸問題へと研究領域を広げる。
本書は、その歴史を辿るにとどまらず、社会をどのように理解し、記述し、比較してきたのかという「知の方法」に着目する。民族学・民族誌学・人類学・社会学の境界にも目を配りながら、現地調査、コレクション、分類、比較、理論、そして現代社会への関与まで、民族学者の「道具箱」を開いていく。過去を振り返ることで、現代を理解するための民族学の可能性を描き出す入門書。