本書は、フリーメイソンにまつわる数多くの「伝説」と「誤解」を、歴史学の立場から検証しながら疑問に答えていく。1717年のロンドン大ロッジ創設以来、フリーメイソンはヨーロッパ社会の変化とともに広がりながらも、その秘密主義ゆえに無数の神話や疑念を生み出してきた。本書はそうした通俗的理解を排し、一次資料や当時の文献を丹念に読み解くことで、意外と知られていないその実像に迫る。たとえば、アダムやソロモン神殿に起源を求める象徴的伝承、スコットランド起源説、ジャコバイトとの関係など、広く流布する説を一つずつ取り上げ、それがどのように形成され、どこまでが史実なのかを明らかにする。そこから浮かび上がるのは、フリーメイソンが単なる秘密結社ではなく、18世紀ヨーロッパにおける知識人ネットワークや社交文化の重要な担い手であったという姿である。陰謀論や俗説を史料に基づき検証し、専門の歴史家がフリーメイソンの実像を明快に解き明かす。