人間は弱い。だから心を支える言葉が必要だ――。
高野山真言宗元教学部長として空海の教えを説いてきた著者は、若き頃に脳腫瘍による母の余命を宣告された。自分の中ですぐに受け入れることができなかったが、翌朝、桜の木でなく蝉の声を聞き次のような詩が浮かんだという。
蝉
卵で一年
土中で六年
地上で十日の蝉の一生
今、たった十日の
いのちを生きている
蝉の命と母親の命が重なり、命のはかなさをしみじみと感じたという。
「無駄に生きてはならない」。そんな思いが詩の湧き出る原動力となり、三カ月余りで大学ノート四冊分もの詩を書き溜めたという
これらの詩はあっという間に評判になり、現在は京都府福知山の寺で住職を務める著者の元に、悩み悲しむ人たちから多くの相談が寄せられるようになった。
こうした詩を厳選し、1月1日から12月31日まで、自分の心を励ましてくれる一日一話形式で掲載したのが本書の成り立ちである。
人生に悩み、仕事に悩み、人間関係に悩むなど、常に不安と隣り合わせの現代人を励まし、勇気づける数々の詩があるので、毎日習慣的に読むもよし、悩んだときに気に入った詩を何度も読み返すもよし、多様な読み方・使い方ができる1冊である。