2027年大河ドラマ「逆賊の幕臣」の主人公は小栗忠順。本書は、幕末に「近代化」を手掛けた幕臣・小栗忠順の生涯と、「近代化」をキーワードに明治を築いたキーマン17人の物語をまとめたものである。17人は、小栗と何等かの関係のあった人物もいればそうでない人物もいる。具体的には、井伊直弼、ジョン万次郎、レオンス・ヴェルニー、松平春嶽、徳川慶喜、勝海舟、土方歳三、榎本武揚、木戸孝允、西郷隆盛、大久保利通、大村益次郎、前島密、伊藤博文、渋沢栄一、大隈重信、東郷平八郎である。
日本の教科書には、咸臨丸の話は登場しても、小栗忠順の名前や万延元年(1860年)の遣米使節団の話、そしてその使節団が世界一周したといった話は登場しない。それはなぜか、またなぜ小栗は罪なくして斬られ、逆賊とされてきたのか──本書を読めば、明治時代以降、あえてそれらが伏せられてきたわけが見えてくる。▼さらに、遣米使節団の中で目付であった小栗が、実質的には大事な交渉を任され、別格の存在だったこともわかる。「オグロは、使節団の中心である。なにごとも、彼の同意がなければ決定できない」(『ニューヨーク・ヘラルド』より)。
天才幕臣の覚悟と、「近代化」へ向けて変わりゆく幕末・明治維新の時代の空気が伝わってくる一冊。