倉阪鬼一郎が織りなす、江戸情緒あふれる大人気人情時代文庫・待望の第2巻!
実際の江戸料理を通して描かれる、悲しみと喜び、そして瑞々しい人の営み。
新年を迎えたのどか屋には、越中富山の薬売り衆をはじめ、年明け早々から客足が絶えない。千部振舞の宴もにぎやかに執り行われ、店は上げ潮の気配に満ちていた。
だが、そんな折、常連中の常連だった俳諧師の大橋季川が、余命いくばくもないという悲しい知らせが届く。千吉は名物の豆腐飯を倹飩箱に入れて季川のもとへ届けるが、ほどなく季川はこの世を去ってしまう。
悲しみが癒えたころ、海防掛補佐役の筒堂出羽守良友から、思わぬお役目の話が舞い込む。漂着してひそかに江戸に住む英吉利人・城須美須(ジョー・スミス)に、日の本の料理をふるまってほしいというのだ。
千吉が腕をふるった焼き飯をスミスはいたく気に入り、それは「やまと飯」と命名されることに――。
さらに、おかみのおようの懐妊や、飼い猫・四代目のどかが出産するという嬉しい知らせも相次ぐ。
かつての大火を乗り越え、悲しみと喜びが交差しながら、のどか屋に新たなにぎわいが戻ってくる。
日本という国がもっとも華やかだった時代に、人々は何を考え、何を好んだのか。
江戸の豊かな人情と美味しい料理が心に染み渡る、至高の味わい。