はじめに
第Ⅰ部 なぜ必要か――リスキリングを支える理論的基盤
第1章 リスキリング、リカレント、生涯学習――その本質と違いを解き明かす
第1節 リスキリングとは何か
第2節 リカレント教育
第3節 リスキリングがあたりまえの時代へ
第4節 リスキリングが求められてきた背景
第5節 日本の政策:経済産業省と文部科学省、それぞれの特徴
第2章 日本が直面する複合的課題――変化の奔流が大学に突きつけるものとは
第1節 労働市場の未来予測
第2節 日本の労働市場
第3節 雇用システムの変化
第4節 外部環境と高等教育
第5節 国難、人口減少
第6節 若年世代を不活性化させる日本固有の要因
第7節 大学の存在感をいまこそ発揮する
第8節 社会課題を解決するハブとしての大学
第3章 ヒューマン・エレメント(人的要因)――キャリアオーナーシップと学習意欲
第1節 マクロな危機から個人の内面へ
第2節 「自己啓発しない日本人」
第3節 構造的依存の遺産:日本型雇用システム
第4節 キャリアオーナーシップの心理学的基盤
第5節 キャリア自律は離職を招くのか
第6節 「学び方」を教える:リスキリング教育への実践的提言
第7節 リスキリング教育の「三位一体」モデル
第4章 転機を力に変えるキャリア理論の知恵
第1節 ジョン・D・クランボルツ
1-1 伝統的キャリア理論への批判
1-2 計画された偶然理論
1-3 リスキリング・キャリア支援への応用
第2節 エドガー・H・シャイン
2-1 組織心理学のパイオニア
2-2 キャリア・アンカー
2-3 リスキリング・キャリア支援への応用
第3節 マーク・L・サビカス
3-1 キャリア構築理論
3-2 キャリア・ストーリー・インタビュー
3-3 キャリア・アダプタビリティ(適応力)
3-4 リスキリング・キャリア支援への応用
第4節 ナンシー・K・シュロスバーグ
4-1 シュロスバーグの転機理論
4-2 デジタル時代の転機理論の拡張
4-3 リスキリング・キャリア支援への応用
第5節 ジョン・L・ホランド
5-1 職業選択理論:RIASECモデル
5-2 大学キャリア教育への応用
5-3 リスキリングへの応用
5-4 新しい類型論
5-5 リスキリング・プログラム設計への導入
第Ⅱ部 世界の変革者と日本の現実――実践モデルの比較
第5章 日本企業の挑戦――人的資本経営の現場
第1節 人的資本経営
第2節 企業の人材戦略とリスキリング事例:富士通
2-1 デジタルスキルの強化
2-2 Purpose Carvingプログラム
2-3 ジョブ型人材マネジメント
2-4 ポスティング制度の拡充
2-5 1on1ミーティング
2-6 データドリブン経営(経験や勘だけでなくデータをもとにした経営手法)の強化
2-7 オンデマンド教育
第3節 企業の人材戦略とリスキリング事例:八天堂
3-1 デジタルスキルの習得
3-2 現場での実践
3-3 継続的な学習支援
3-4 インセンティブの提供
3-5 学習環境の整備
3-6 評価の可視化
3-7 コミュニティの形成
第4節 企業の人材戦略とリスキリング事例:日立製作所
4-1 シリコンバレーの仕掛人(2005-2011)
4-2 「DX」への転換と構造改革(2019-2022)
4-3 加速と統合:AI & “Inspire 2027”(2023-2025)
4-4 リスキリングと金銭的報酬の直接的連携
4-5 変革のための戦術
第6章 実践のパイオニアたち――日本の大学におけるリスキリングの取り組み
第1節 地域活性化とキャリア再構築のためのハイブリッドモデル
1-1 神戸学院大学「楽農アカデミー」
1-2 戦略とプログラム設計:ビジネス知見と実践的農業の融合
1-3 ガバナンスと資金モデル:「産官学」パートナーシップ
1-4 中核的メカニズム:教育から農地への直接的経路
1-5 新世代の農業従事者の育成
1-6 複製可能なリスキリングと地域活性化モデル
第2節 マイクロクレデンシャル統合モデル
2-1 サイバー大学(完全統合とスタッカビリティ)の事例
2-2 東北大学(体系的・専門的バッジ)の事例
第3節 ハイエンド専門教育モデル
3-1 早稲田大学(多様なポートフォリオ)の事例
3-2 慶應義塾大学(エグゼクティブ・社会課題焦点)の事例
第4節 特定分野特化・助成金連携モデル
4-1 名古屋大学(ターゲットDX/ヘルスケア&資金連携)の事例
第5節 まとめ
第7章 アジアのトップランナー――シンガポール国家戦略と大学の役割
第1節 シンガポール政府の取り組み
第2節 シンガポール国立大学
第3節 継続教育・生涯教育スクール(NUS SCALE)
3-1 NUS SCALEの基本的な仕組み
3-2 マイクロクレデンシャルの種類
3-3 対象となる分野
第8章 北米のイノベーター――スタンフォード大学とトロントメトロポリタン大学
第1節 スタンフォード大学:エリート・イノベーション市場
1-1 大学の概要
1-2 7つのスクールとリスキリング施策
1-3 スタンフォードキャリア教育
第2節 トロントメトロポリタン大学:地域・アクセス型
2-1 大学の概要
2-2 学部構成
2-3 G・レイモンド・チャン継続教育スクール
2-4 チャン・スクールの主なプログラム
第3節 二つのモデルからの示唆
第9章 欧州の社会モデル――EU、イギリス、イタリアの叡智
第1節 制度的基盤と社会哲学:欧州社会権利の柱(EPSR)と欧州資格枠組み(EQF)
1-1 欧州社会権利の柱(EPSR)の策定
1-2 欧州社会権利の柱(EPSR)行動計画とその進展
1-3 欧州資格枠組み(EQF)の機能と制度的役割
第2節 実践的な教育施策:欧州大学連合(STARS EU)
2-1 欧州大学連合の構造
2-2 社会人向けプログラム
第3節 地域貢献モデル:イギリス・ダービー大学のシビック・ユニバーシティ
3-1 大学の概要と設立の背景
3-2 シビック・ユニバーシティとしての役割
3-3 実践的な大学施設
3-4 生涯キャリアガイダンス
3-5 国際ガイダンス研究センター(iCeGS)
3-6 理論と実践が融合する大学教育
第4節 ボローニャ大学
4-1 起源と変遷
4-2 学問の構造・学位制度
4-3 可視化された学びと進路
4-4 移転可能スキルの教育哲学
4-5 移転可能スキルの具体的な学習構造:学びの再定義
4-6 移転可能スキルの具体的な学習構造:拡張学習
第10章 オーストラリアの地域共生モデル――チャールズスタート大学
第1節 はじめに:地に根ざす大学の起源
第2節 先住民文化への敬意と「Yindyamarra Winhanganha」
第3節 学部構成とキャリア領域構成
第4節 産業界との連携と高い就職率
第5節 多様な経験を価値に変える「Experience Matters Entry」制度
第6節 次世代の学び:マイクロクレデンシャル
第7節 日本への示唆
第Ⅲ部 日本の大学への提言――シン・キャリア教育への挑戦
第11章 知的インフラとしてのマイクロクレデンシャル――国際比較
第1節 リスキリングとマイクロクレデンシャルの必然性
第2節 信頼性の根幹:質保証(QA)の重要性
第3節 キャリアの連続性:資格枠組みと学位への接続
第4節 国際比較による現状認識
第12章 世界のリスキリング教育の構造的摩擦
第1節 理想と現実の狭間で
第2節 第一の摩擦:質保証と信頼性の揺らぎ
2.1 雇用主の評価と「スキルの非対称性」(北米の事例)
2.2 市場の混乱と定義の不在(カナダの事例)
2.3 「スタッカビリティの壁」と「認知の壁」(欧州の事例)
第3節 第二の摩擦:行政・財政的課題と公平性のジレンマ
3.1 運営の疲弊と提供数の減少(米国の事例)
3.2 公平性と費用対効果(オーストラリアのWIL事例)
第4節 第三の摩擦:制度的・文化的抵抗
4.1 学位への統合とアカデミズムの壁
4.2 評価軸の転換に対する抵抗
第5節 結び:摩擦を「航海図」に変える
第13章 日本への普及の課題と戦略――「革新(イノベーション)」と「基盤整備(インフラ)」の統合
第1節 日本における「二つの潮流」
第2節 なぜ日本では「学び」が動かないのか
第3節 日本特有の「三重の障壁」
3-1 メンバーシップ型雇用の遺産
3-2 学位信仰と「履修証明」の限界
3-3 教員の意識と「教育のアンバンドリング」への抵抗
第4節 日本版攻略法:現場から始める「ソフト・パワー」戦略
4-1 【戦略1】履修証明制度の「マイクロクレデンシャル的運用」
4-2 【戦略2】「キャリア教育センター」のハブ化
4-3 【戦略3】「逆輸入型」のカリキュラム開発
第5節 制度の壁は「運用」で越えられる
第14章 初年次から社会人まで――「人生設計力」を育むシン・キャリア教育プログラム
第1節 「生き残り」をかけた教育設計の転換
第2節 「見えないスキル」を「通貨」に変える
第3節 学位と汎用スキルの二重証明モデル
第4節 「行動事実」に基づく評価
第5節 シン・キャリア教育プログラム:大学カリキュラム案
5-1 【1年次】自己発見と社会のしくみを学ぶ
5-2 【2年次】実践と選択の幅を広げる
5-3 【3年次以上】キャリアの確立と社会への移行準備
第6節 理論と実践の融合:ナラティブと共創
6-1 現代にこそ生きるキャリア理論
6-2 「キャリア共創型大学」への進化
第7節 リスキリング時代に求められる「統合型支援体制」
第15章 「学びの拠点」から「人生のハブ」へ――大学と個人の新たな関係
第1節 60年に及ぶカリキュラム
第2節 「若者の通過点」から「人生のハブ」へ
第3節 具体的な実現手段「3つの鍵」
第4節 直線から循環へ:スタンフォード大学「オープンループ」
終章 「戻れる大学」へ――新しい大学経営の覚悟
あとがき
索引