『富裕層と中小企業経営者のための10の相続戦略』は、「うちは揉めない」という思い込みが、いかに危ういものかを現実的な事例とともに描き出した一冊です。相続は単なる財産分与ではなく、家族の感情、不動産、会社、自社株、保険、介護、そして経営承継まで絡み合う“人生最大の経営課題”であることを、本書は具体的に教えてくれます。
本書の特徴は、弁護士、税理士、不動産コンサルタント、FPなど、相続の現場に立つ10人の専門家が、それぞれの立場から「なぜ揉めるのか」「どうすれば防げるのか」を実務的に解説している点です。 特に、不動産や自社株のように分けづらい資産を持つ富裕層・経営者にとって、事前準備の重要性が繰り返し語られています。 また、「遺言書一枚で未来が変わる」「二次相続で兄弟が対立する」「良かれと思った相続が会社を壊す」といった、誰にでも起こり得るリアルなケースが豊富に紹介されており、単なる制度解説では終わりません。 「相続は問題が起きてから対処するものではなく、元気なうちに備えるもの」という著者たちのメッセージが全編を貫いています。 家族と会社、そして築き上げた資産を次世代へどう残すのか。本書は、相続対策を「節税」ではなく、「思いやり」と「未来への責任」として考え直させてくれる一冊です。