本書は、Oxford University Pressが刊行しているOxford Commentaries onInternational Lawシリーズの一環として、2016年に公刊された、人種差別撤廃条約のコメンタリーである。著者であるパトリック・ソーンベリー氏(キール大学名誉教授)は、国際人権法の分野の中でも、マイノリティ問題や先住民族問題の研究を進めてこられた。その知見を背景として、2001年から2014年までの13年間にわたり、人種差別撤廃委員会(以下、委員会という)の委員を務めた。本書は、その委員としての経験と、その後の委員会の実行に関する検討を踏まえて執筆されたものである。
本書は、全20章で構成されている。人種差別・人種主義の歴史と(第2章)、人種差別撤廃条約の採択に至るまでの経緯を解説し(第3章)、委員会の活動内容の概要を示したうえで(第4章)、人種差別撤廃条約の各条文のうち、条約の名称と前文(第5章)、そして第1部実体規定の第1条から第7条までを、逐条的に解説するものとなっている(第6章から第17章)。
さらに、留保に関する第20条と、国際司法裁判所の役割に関する第22条の解説を加え(第18章及び第19章)、最終章では、各章の要約と、人種差別撤廃条約の今後の展望とが示されている。