建築家のための土地学講義

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商品説明
空き家、狭小地、商店街、団地、長屋、古民家――
都心から海際・山間集落まで、
まちに関わる建築家たちによる
土地の投資・所有・運営のデザイン

・金融機関と連携したファンド組成
・再建築不可物件との一体的な再編
・敷地境界をほどき、つなぐ空間の設計 etc.

都心の狭小地、空き家、商店街、団地、海際集落など条件の異なる現場で、建築家や施工者が土地や建物を取得・所有し、改修・新築・事業運営へ踏み込む8つの実践を取材。建築を起点に投資・所有・運営をデザインする事例を紹介し、収支計画、権利調整、用途更新、地域との関係づくり等の視点から、講義編で横断的に読み解く
目次
序論:投資・所有・運営の視点から土地への実践を読むために
・投資の視点――「貨幣投資」と「関係人口」を組み合わせる
・所有の視点――「空間の開き方」と「権利の分配度」を組み合わせる
・運営の視点――「意思決定の主体」と「更新可能性」を組み合わせる

事例編
CASE 1:堅実な収支計画で設計を支える
――路地文化の街へ段階的に生み出す商いの場
/KITAYON(寶神尚史)
・路地の文化と個人商店の街
・建築の成立条件を自ら引き受ける
・三つの土地、三つの建築
・収支計画とキャッシュフローが育てる建築
・街のなかを歩く行為自体を引き込む路地
・建築を街へと開く構造形式の選択
・街の風景として慎重に決めるファサード
・建築の「品格」――細部がつくる街からの信頼
・街をゆっくりと育てる更新の在り方
・「群」として捉えることで変わる運営
・土地を所有することで、設計は続く

CASE 2:改修しながら用途と空間を組み替える
―― 一体化した入居と運営で築く地域との関係
/SMI:REYOYOGI(進藤強)
・小さく貸すことから始まった実践
・小さな用途の挿入が生んだ波及効果
・建築家からオーナーへ
・取得した建物の課題を「整備する余地」として読み替える
・小さな区画ごとに用途を重ねながら改修する
・所有物件に隣接した再建築不可物件を連動させる一体的再編
・入居者であり運営者でもあるという意識を生む仕組み
・住む・働く・泊まる、そして学を重ねる運営
・地域との関係をつくり直す
・未完成であること、自走すること

CASE 3:ファンド組成を絡めて遊休不動産を再生・運営する
――密集市街地に点在する複合施設
/せんつく(青木公隆)
・路地と木造密集市街地の歴史的背景
・建築家が地域に関わるという選択
・「せんつく1」の誕生と運営開始
・「せんつく」の運営が建築を更新する
・更新されない理由が集積する空き家
・空き家再生とファンド組成を同時に行う
・公共性を内包する「せんつく2」――目的がなくても居場所になり得る場所をつくる
・離散的な点がつながる都市像
・銭湯のあいだに「せんつく3」を置く
・なぜ土地を所有するのか――建築・運営・都市をつなぐために

CASE 4:多様なルートで取得した空き家を分散拠点化する
――郊外団地でさぐる組織の働き方
/ハヤシハウス(黒沢健一)
・未完のまま使い継がれた現場の集合としての団地
・アイデンティティとしての郊外
・初めて取得した空き家を団地全体の共有資源へ
・空き家取得の三つの回路
・ハヤシハウス――能動的な取得から拠点化へ
・分散拠点が支える組織の働き方
・地域への開きと限定的な公共性
・状況へのリアクションがつくる「明日の郊外団地」

CASE 5:空洞化した海際集落と人を建築でつなげる
――多様な人々を巻き込み、育てる自治
/Re「」SHIMIZU-URA PROJECT(伊藤智寿)
・開発されない条件不利地に移住する
・状況に応じて更新される、ゴールを決めないプロジェクト
・不特定多数ではなく、特定多数に向けて場をひらく
・空き家群から生まれる多様な場所
・同時並行で改修が行われていく空き家群
・集落の敷地境界をほどき、つなげる「ろま」
・建築を接点にして地域に関わる人を呼び込む
・所有・使用・分配の再設計
・集落の時間を取り戻し、自治をつくる

CASE 6:廃屋の修繕を一軒から路地単位へ広げる
――労働を運営に組み込むアーティストの村
/バイソン(西村周治)
・坂の上に発生した空き家群とバイソン
・自ら買い、直し、運営する
・一軒から路地単位へ──修繕が生んだ取得の連鎖
・8割廃材による更新――壊さず、直しすぎない
・住居+αの再編――広さを活かす
・家賃と労働を組み込んだ運営構造
・循環する資金と社会還元
・修繕から生まれる村

CASE 7:用途・施工・建築の境界が揺らぐ公共的な場を運営する
――専有・共有を固定しない長屋
/ヨルン(山口陽登)
・表が裏に転じた一条通り商店街
・空き家になることが決まっていた長屋
・建築をつくる上での権利を100%持つ
・契約と空間の可変性
・長屋の露出した側面をファサードにする
・プロとアマチュアの境界を編み直す
・所有が拡張する視点――建築からエリアへ
・滲むファサードと自発的公共空間
・なぜ土地を所有するのか――公共を私的に立ち上げるために

CASE 8:隣地取得で山間集落の建物群をつなぐ
――住むことで生まれる設計と運営への意識
/静原村の家・事務所・宿泊棟(森田一弥)
・職人の技術と制度が残した集落
・山間集落に拠点を置き、建築に関わる
・築100年の古民家取得と住みながらの改修
・隣地取得によって広がった段地の建物群
・地域活動を契機とした空き家取得と宿への転用
・請負型施工から部分的な自主施工への転換
・宿の運営を通じて継続する建築への関与
・分散した建物群を歩いてつなぐ集落の日常
・現場にある材料から即興的に導かれる設計判断
・集落に拠点を持ち、所有を通じて関わり続ける


講義編
1:建築家たちはどのように土地に関わるか
・近代の建築家・都市計画家にとっての「土地」
・田園都市構想から浮かび上がる「土地の三配分」
・見過ごされてきた「制度」としての土地観
・土地固有の文脈が抽象化される危うさ――アンリ・ルフェーブルと空間の商品化
・土地の所有に責任が伴わなくなった現代――近代的所有権からの乖離
・「無責任な所有」は法制度で正せるか――日本における土地基本法の限界
・投資・所有・運営を現代の実践として捉え直す
・求められるのは3つの実践を統合する主体
・実践を阻む3つのジレンマを乗り越えるための制度設計
・建築家・施工者のポテンシャル――現代の土地問題に取り組める能力者

2:投資のデザイン
・貨幣だけが投資ではない――「関係人口」という資源の厚み
・10万円の建物と、1・5億円の建物――投入する資源の違いが生む両極
・8事例をマップで見る――「投資金額」と「関係人口」を軸に
・貨幣投資が先行せざるを得ない場所で関係人口をどう育てるか
・関係人口が支えるのは「つくる速度」ではない
・貨幣と関係の間での模索
・マップをどう読むか――3つの視点
・「貨幣投資」と「関係人口」をどう組み合わせるか

3:所有のデザイン
・外部環境に対する「防波堤」としての所有
・権利は集中させつつ空間を開く――多様な活動を受け止める意志
・開いた空間で自律性を育てる――場所の意味をともにつくるコミュニティ
・8事例をマップで見る――「空間の開き方」と「権利の分配度」を軸に
・所有以外の権利をどのように分配するか
・公的な性質と権利の分配のバランス――実践のために取りうる様々な出発点
・コモンズを目指して――途上にある実践をどう読むか
・このマップをどう見るか――3つの視点
・「空間の開き方」と「権利の分配度」をどう組み合わせるか

4:運営のデザイン
・所有者が決める方が、かえって場は動く
・「ゴールを決めない」決断が俊敏な更新を可能にする――伊藤さんの運営
・計画の蓄積と対話の継続が運営の柔軟性を生む――寳神さんの運営
・8事例をマップで見る――「意思決定の主体」と「更新可能性」を軸に
・所有者が決めるが内容は固定しない――伊藤・進藤の実践
・「すべて決める」をゆっくり手放すなかで生まれた秩序――西村さんの特異な位置
・利用者との対話で意思決定の重心のバランスを取る――青木・山口・黒澤・森田
・このマップをどう読むか――3つの視点
・「意思決定の主体」と「更新可能性」をどう組み合わせるか

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