【序言より】
本書の主要な目的は、百箇条の法文をもつ「御定書」の正体を解明することにある。九年前に刊行した『江戸幕府法の基礎的研究《論考篇》《史料篇》』(平成二十九年、汲古書院)の「序言」において、「まったく言及できなかった課題」として「寛政刑典」の名をあげた。百箇条の法文をもつ「寛政刑典」は、「公事方御定書」下巻とほぼ同じ内容でありながら明らかに別書なのである。百箇条の法文をもつ写本はじつに夥しい数が伝存する。しかしながら、それらの伝本をどのように理解すべきか、それらの伝本を幕府法のなかにどのように位置づけるべきか、解答を出すことが出来ずにいたのである。本書は、そのときの宿題に対する解答である。書名を『続・江戸幕府法の基礎的研究』とする所以である。