「歩行の異常は知覚と運動の鎖(リンク)が切れたところに出現する」
そのリンクをどのようにしてつないでいくか。それは片麻痺歩行の回復可能性への挑戦である。
片麻痺患者にみられる「典型的な片麻痺歩行」は、リハビリテーションの臨床において回復させることが依然として困難であり、これまでのリハビリテーション(運動療法)には限界があることを物語っています。
この現状を打開するために必要なのは、歩行を知覚運動連鎖と捉え直し、歩行の“巧緻性”を理解することです。歩行においても運動と知覚はどちらが原因でどちらが結果なのか判然としません。つまり歩行は、「運動シークエンスの連続であると同時に知覚探索の連続」なのです。
異常歩行はその連続性が絶たれたことで現れます。本書は、知覚情報の構築によって再びその連続性を取り戻すための具体的な方略を提示しています。
きわめて仔細に足の機能を分析し、臥位や座位での歩行“前”治療、単関節また複合関節による“関節運動”と“方向・距離・形・表面性状などの知覚”を組み合わせた足の細分化のための多彩な課題設定、またそれらを「推進・到達・接近・緩衝・支持」という歩行の機能的側面から捉えた治療課題を紹介しています。
また、19世紀後半から20世紀前半に“発見”された病的歩行についての歴史的振り返りから、種々の異常歩行について、これまでの片麻痺歩行の運動療法についても考察し、その理解の上で、歩行をシステムとして捉えたリハビリテーションへの具体的な道筋を示しています。
歩行のリハビリテーションを考える上で、なくてはならない一冊です。