行為を構成する3つの要素——〈空間性〉〈時間性〉〈強度〉
訓練の最初に位置づけるべきはどの要素か、それはなぜか。
それぞれの要素を中心に据えた具体的訓練とはどのようなものか。
三人の臨床家がそれぞれの経験をもって対話を重ねるなかで見えてくるものとは。
私たちの日常は、どこかへ行く、何かをすることの連続です。そしてそれが、どこで、どのような状況で、その時どのような気持ちかによって、自然に身体の動き方(行為のあり方)は変わります。あるいはそれを意図的にコントロールすることができます。
リハビリテーションが究極、目指すべきは、そのような自由で自然な行為の回復です。
その目標に一歩でも近づくために、現状を打開する切り口として著者たちが再認識し、対話を通して思考を深めていった視点が、行為を構成する3つの要素〈空間性〉〈時間性〉〈強度〉です。
「行為は必ず自分と対象との位置関係(空間性)、連続的な時間の流れのなかでの動作速度(時間性)、力加減や努力感の質(強度)のなかで成立しています。そして、これらは意欲や価値判断と結びついています。たとえば、あえて大きな動きをする(空間性)、あえてゆっくり行う(時間性)、あえて優しく撫でる(強度)といった行為は、単なる筋力的な問題ではなく、主体の関心や社会的文脈を反映しているからです」(本文より)。
行為を3つの要素に解体し、理解し、その上でリハビリテーションを捉え返し、訓練を組み立て直す試みは、リハビリテーションを新たな展開へ導く臨床思考です。
臨床への展開によって生じる新たな問い、思考、対話(思考)、臨床(対話)、問いという営みは、目標が先にある限りこの先も続いていきます。