宮沢賢治の教育思想

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宮沢賢治は、仏教者や教育者と思想的対話を交わしながら、岩手の農学校で、〈学び〉や〈個性〉を重視した科学、芸術、語学を横断する教育を通して、農村の生活向上も目指した。

本書は、賢治の創作・教育活動を軸にして、1910年代〜1930年代前半における近代仏教、とくに田中智学らが率いた日蓮主義(第一部) 、「ダルトン・プラン」に代表される大正新教育の潮流(第二部)、古神道の流れを汲む農本主義の実態と岩手農村への影響(第三部)を考察する。

各地に埋もれていた一次史料・関連史料を渉猟し、賢治自身によって明示されなかった「教育思想」の輪郭を描く。
目次
序章 近代仏教と大正新教育――宮沢賢治からの思想史的問い直し

第一部 浄土真宗から日蓮主義へ――近代仏教受容の位相
 第一章 岩手農村における浄土真宗へのまなざし
     ――作品「復活の前」「霜林幻想」に見る暁烏敏
 第二章 宮沢賢治の日蓮主義「受容」
     ――『摂折御文/僧俗御判』の分析を通して
 第三章 宮沢賢治と国柱会における「教育」
     ――国柱会機関紙『天業民報』『大日本』を資料として
 第四章 大谷光瑞批判から見る仏教と教育の関係
     ――「個」と「個」の連関からなる共同体へ
第二部 岩手県における大正新教育の展開──宗教思想との連関
 第五章 岩手県師範学校附属小学校と大迫尋常高等小学校の実践
     ――都市と農村のダルトン・プラン
 第六章 新教育思想の「農」への展開
     ――農学校での教育実践と藤原嘉藤治の教育論
 第七章 「下種」の思想より見る宮沢賢治童話
     ――日蓮主義的〈教化〉からの展開
第三部 農村実践と宗教思想の基底──社会的現実との相剋
 第八章 岩手国民高等学校と農本主義
     ――古神道に基づく農村改良との比較から
 第九章 羅須地人協会時代の実践
     ――宮沢一族をめぐる政治状況を背景として
 第一〇章 宮沢賢治の「農民芸術」論
      ――日蓮主義的な法華経理解を基底として
 補 章 宮沢賢治作品における教えと学び
     ――教育実践・法華経信仰の表現
 終 章 宮沢賢治の「教育思想」とは何だったのか
     ――世界全体の幸福と「大四次元」
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