本書では,面接室で患者と分析家の間に存在するさまざまな「仕事」(Work)に焦点が当てられ,患者の「変化」がどのように可能となるかが導き出される。
著者は,セクシュアリティ,女性アイデンティティの諸側面,時間,夢,思考のモダリティ,そして精神分析の終結といった問題に対して,英国・フランス双方の精神分析の潮流を参照しつつ,いくつかの新たな概念を導入している――分析家がセッション中に置くべき二重の注意の位置を説明する「双眼性」,象徴的思索を可能にし,分析状況における行き詰まりの回避に役立つ「反響時間」。また,Freud以来,議論の的となっている「性的アイデンティティ」については,妊娠,拒食,脆弱な男性らしさの形成といったさまざまな観点から検討を加えていく。
クライン派を含む英国対象関係論とLacanやLaplanche,Greenといったフランスに発展した精神分析の邂逅を経て,独自に深化した技法論。