本書では,短期精神分析的療法(Brief Psychoanalytic Therapy:BPT)の基本的な考え方と実践方法を解説する。
まず第1章ではBPTの土台となる精神分析の考え方をわかりやすく整理し,特に患者が一人では抱えきれない感情を治療者が受け止め,整理することで,患者の発達をどのように促進していくのかに焦点を当てる。
第2章では,6種類のアプローチ(対人関係療法(IPT),認知分析的療法(CAT),力動的対人療法(DIT),集中的短期力動療法(ISTDP),会話モデル(精神力動的対人関係療法,PIT),短期精神分析的療法(BPT))について,それぞれの共通点と違いを概観していく。後半では理論より臨床に重きを置き,治療経過を追った症例の数々を紹介するとともに,実際の面接記録を書き起こした逐語録から,特に転移・逆転移に注目し,患者と治療者のやり取りを詳しく検討。
また治療マニュアルと遵守マニュアルをもとに,治療者の基本姿勢や具体的な技法を詳しく紹介していき,BPTとIPTを比較した研究の結果も報告している。最終章ではこれまでの内容から,BPTの起源と心理学的な療法の中での位置付けや,その訓練・スーパーヴィジョンの問題についても言及する。BPTの全体像を概観し,これから本療法を学ぶ方にとっての第一選択となる一冊である。