特集 黒田和美賞とその歌人たち
六月のアート・フィルムずたずたに裁断されしままラッシュ・バックせよ
打たれたる頰のほてりを如月の風に晒せば匂ふジャスミン
立ち尽くす誇りあらばや風のなか一糸纏はぬ冬の木立よ
母として抱くらむ赤子はつなつの睡蓮すでに胸に色づく
月光を過りたる人一斉に揺れてゐるらむ尾花の向かう
(黒田和美五十首選より)
歌人・福島泰樹主宰の「月光の会」が発行する短歌雑誌。今号の特集では、黒田和美さんとその受賞歌人たちの歌業を振り返る。本賞は2013年、月光の会立ち上げの頃からの功労者であった黒田和美を顕彰して創設され、以来過去11回、14名の受賞者を輩出してきた。「黒田和美は、時代の決して主役ではなかった人々、その副次文化の創り手たちの行く末にこそ、六月の雨の挽歌を降らせたかったのである。それが、まるで自分の役割であるかのように、ごく自然に。」(福島泰樹「悲しみの言葉 黒田和美」より)そのほか、新鋭会員の作品を掲載。大和志保による短歌評論連載では、2024年3〜4月の短歌シーンを考察する。