著者は小学校2年生で不登校になりました。心療内科で自閉スペクトラム症とADHD(注意欠如多動症)と診断されました。
フリースクールや適応指導教室を転々とし、中学校では特別支援学級に在籍することになりました。
そこから通信制高校へ進学し、一浪を経て、東京大学に合格します。
彼はADHD(注意欠如多動症)を、当事者としてこのように表現します。
「多動症」はじっとしていることが難しい特性で、まるで体の中をミミズが這っているかのようにむずむずして、つい動き出してしまう感覚だと言うのです。
「注意欠陥」は視界の中にあるものに、ランダムに自分の意識が強制的に振り分けられてしまう特性です。掃除機に吸い込まれるように注意が引き寄せられ、物事に集中することができません。
こうした特性を持つ彼が、どうして東大に合格できたのでしょうか。
東大への道のりは、決して平坦ではありませんでした。
父には「東大なんて受かるわけないよ」と言われ、友人には「勉強なんかしてどうなるの」と馬鹿にされます。
学校には居場所がない……。同級生に強い劣等感を持ち、自分を否定します。
なぜ東大を目指したのか?
そして東大生になり、何を見つけたのか?
本書には、生きづらさを感じている人が疎外感を覚えず、安心できる居場所を探すためのヒントがあります。
当事者だから書けたリアルな表現は、お子さんの不登校や発達障害に悩んでいる親御さんにとっては、わが子の行動の背景にある、これまで気づかなかった理由を理解する手がかりとなるでしょう。
本書で語られるのは「普通」からはみ出したのに、東大に合格できたという成功体験ではありません。
同じ1人の人間が、ある場所では「問題のある子」とされるのに、別の場所では「力を発揮する子」とされるのは、どうしてなのか?
不登校や発達障害のご本人、その家族、教育に関わるすべての人たちと、ともに考えていくための一冊です。