「日本以外に骨を埋めたい国はあるか」と問われたら、
躊躇なく「ラテンアメリカ・カリブ諸国のどこかだ」と答える。
なぜそこまで言い切れるのか。答えは本書を読み進めればわかる。著者は商社での50年のキャリアのうち、通算22年間をラテンアメリカで過ごし、その後も15年にわたり、ラテンアメリカ協会の仕事を通じて、この地域と日本を繋ぐ活動に携わっている。多様な民族が混ざり合い、人種や宗教の壁を超えて認め合うラテンアメリカは、世界でも稀に見る親日地域だ。そして、様々な戦争が継続する世界において、この地域は、域内に核保有する国も無く、国同士が武器を持って争うことも少ない「平和を愛する民主主義的連帯」が根付いている。更に、どんな状況でも明るく前向きに互いに助け合って生きる「アミーゴ(友)・スピリッツ(互恵の精神)」は、今の日本に最も必要な「心のサプリメント」であると感じる。本書は教科書のような解説書ではないが、本文で様々に記述した情報の裏側にある「手触り感」を汲取って欲しい。ビジネスの最前線で、数千パーセントというハイパーインフレに翻弄され、あるいはアマゾンの奥地で「でっち上げ」のプロジェクトに直面し、自分の目で真実を確かめることの重みを知った著者。かつてパナマの激しい渋滞の中で、出発時間を気にし、イライラしていた著者を優しく包み込んでくれたのは、音もなく舞う無数の蛍だった。そんな「不合理な現実」と「息を呑むような美しさ」が共存する世界を、本書から知ってほしい。