「永久戦争」を終わらせる世界革命の夢――フランス革命は国民国家そして総力戦の起源なのか?
クラウゼヴィッツは総力戦の起源をフランス革命に求めた。しかし、そこには植民地戦争への視点が欠けていた。これを考慮に入れるとき、従来とはまったく違った西洋近代史に直面することになる。そもそもフランスで国民国家が完成したのは、革命期に、ではない。それが完成するには100年を要し、また実現されたものも「革命期に提示されたもの」とはかなり「違ったもの」となっていたのである。フランス革命が望んだのは、フランスだけの革命ではなかった。植民地を含む「全世界の革命」だった。そのあいだの闘いの中で人々は何を夢見、あるいは挫折したのか?革命家の夢、また徴兵忌避者が求めたもの、ナポレオンの記憶、植民地先住民への想い、従軍司祭の祈りなど、戦争と軍隊をめぐる戦争文化史を膨大な一次史料を駆使して読み解き、理想と現実のフランス100年史を描き出す。
「ロベスピエールは、いかなる民族も武装した宣教師など望まないと喝破していた。たしかに『赤い帽子の旅』を歌った民衆は、ロベスピエールに比べれば、ナイーブだったと言えよう。けれども地球全土を解放してあげたいという、200年前のフランスの民衆の夢を傲慢だと非難するよりも、むしろ彼らの博愛主義に基づく闘争心を、21世紀の日本人の独善的な一国平和主義に比べ、高く評価すべきではなかろうか。まさに革命戦争は地球全体のために為されたのであった。」(本書より)