アニメ心理学 超入門

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商品説明
平面上に描かれた動く絵があたかも生きているように感じるのはなぜか!?

絵に命や意思が吹き込まれるしくみに、アニメーション表現と知覚心理学の両方からアプローチ。

アニメは人の心を動かし、ときには人生に影響を与える。そうしたアニメーション表現を、心理学の観点から考えていくのが本書である。われわれのアニメーション体験の根底にある知覚の特性や、物語の構造や機能などについて、さまざまな作品例を挙げながら、できる限り平易に解説する。実際に動きを確かめられる動画へのリンクも多数収載した。

 


 本書は、アニメーションという表現を心理学の観点から考えていくことを目的としている。心理学というと、キャラクターの気持ちや感情だと思われるかもしれない。だが本書では、心理学のなかでも知覚心理学という「見る」「聞く」「触れる」といったわれわれの認識を探究する分野の知見を中心に、アニメーションの表現のしくみについて考えていく。
 絵に描かれただけの動く対象に、命があり意思があるように感じる。彼らの一挙手一投足に涙し、笑い、さまざまな経験をともにする。実生活では起こり得ないことでも、臨場感を持って、ときには、自分のこととして受け取る。そうしたわれわれのアニメーションにおける体験の根底にある知覚の特性や、物語の構造や機能について、具体的な作品例をあげながら、なるべく平易に論じることをめざす入門書として位置づけた。
 本書は学術書ではあるが、ほんの入り口であり、なるべく平易に、あまりに深い議論には入り込まないようにしたつもりである。本書をきっかけに、多くの方にアニメーション表現、知覚心理学に関心を持っていただければありがたい。また、アニメーション制作を志す人の少しでも力になることを願っている。 (「はじめに」より)


 

●著者紹介
小松 英海(こまつ ひでみ)
博士(心理学)。運動の知覚を専門とする。明星大学、東京工芸大学で非常勤講師として運動視知覚、アニメーション心理学を担当している。著書として『ギブソン心理学の核心』(勁草書房)、『現代心理学への招待』(樹村房)、『基礎心理学実験法ハンドブック』(朝倉書店)がある(いずれも共著)。
目次
■1章 アニメーションと心理学

1.生命がないものに生命を吹き込む
 プシュケーとアニマ/生命を吹き込む/テクノアニミズム/自律型のロボット

2.心理学とはどういうものか
 「心」について/心の科学

3.アニメーションと心理学の交わるところ
 自発的に動くものが心理学の対象/自発的に動くものを表現するアニメーション/


■2章 生き物らしさの表現

1.動くものと動かないもの
 原因と結果の関係/因果関係の知覚/円盤法の実験/追突印象と引き金印象/運搬印象/道具効果/道具の見えない道具効果/自ら動くものと動かされるもの

2.生き物を知覚するしくみ
 動物が動く2つの玩具/なぜ生き物のように見えるか


■3章 動きのまとまりの知覚

1.バラバラでなくまとまりとして見る
 知覚のまとまり/ゲシュタルト心理学の始まり/仮現運動/仮現運動とアニメーション/ゲシュタルト

2.アニメーションが動いて見えるしくみ
 フレーム数とフレーム内の複雑さの違い/コマ打ち/コマ数の違いによる動きの感じ方の違い


■4章 時間の表現と編集技法

1.時間を操作・制御する
 時間芸術/時間の長さの操作(1)――早い動きを見せる/時間の長さの操作(2)―― 遅い変化を見せる

2.編集が生み出す効果
 動画像配列/モンタージュ理論/クレショフ効果/モンタージュの分類

3.編集技法の基本
 モンタージュの技法/長回し/実写とアニメーションの編集工程の違い


■5章 平面上での空間レイアウト

1.2次元なのに3次元だと感じる
 3Dの奥行き感を得るメカニズム/アニメは2次元の表現

2.遮蔽の知覚現象による奥行き
 黒い三連星/トンネル効果(その1)/トンネル効果(その2)/遮蔽縁/重なり合い/環境のレイアウト/重なりと運動の利用

3.画面の構図による奥行き
 線遠近法/三分割法斜め構図

4.運動による奥行き
 運動視差/マルチプレーン・カメラ


■6章 物語の力

1.物語の型
 物語の高まり/状況による物語類型/感情の起伏に着目した物語類型/ログライン

2.物語の構成
 三幕構成/ターニングポイント/三幕の比率/入れ子構造/映画の物語の時間構造

3.物語の機能
 アイデンティティとドラマ/アイデンティティの変容/「白人酋長もの」と「潜入捜査もの」


■7章 物語を動かすキャラクター

1.心理学におけるキャラクター
 キャラクターとパーソナリティー/ヨーロッパのキャラクター研究

2.作品世界のキャラクター
 類型的な設定/行動主義とアニメーション/キャラクターの多面性/キャラクターの背景

3.アニメーションにおけるキャラクターの役割
 キャラクターが方向性を決める/キャラクターが物語の形式を決める/キャラクターが物語構造を決める/キャラクターの重要性


■8章 知覚と表現

1.何を選び何を捨てるか
 アニメーションのなかの新宿/何を見て何を見ないか

2.知覚と実験現象学的アプローチ
 雨の表現/表現のもとは知覚体験である/経験的立場からの心理学/経験を扱う現象学/実験現象学的アプローチ

3.色や風の知覚と表現
 日常生活で経験する色/風の知覚と表現

4.動物の動きの表現
 空を泳ぐ魚/ウナギの動きとヘビの動き/Beach animal/アニメーションにおける動物らしさと感情表現

5.何をどう知覚するか
 感覚を超える表現/欠かせない知覚


■9章 製作者と作品と鑑賞者の相互作用

1.制作者と鑑賞者の関係
 見たことを伝えたい/9 ヶ月革命/三項関係/製作者と作品と鑑賞者の三項関係/原作の改変

2.作品が生み出すもの
 制作者の意図と鑑賞者の受け取り方の食い違い/アフォーダンス/創造が創造を生む/自由な二次創作の素地


■10章 アニメーションの位置づけ

1.アニメーションのリアリティ
 アニメーションの持ち味/アニメーションらしさ/現実では不可能な動き/デフォルメと写実

2.アニメーションにおける「飛ぶ」
 動画像としてのアニメーション/重力の有無/印象的な「飛ぶ」表現/ 「飛ぶ」という行為/「意思」を持つ

3.アニメーションへの感情移入
 共鳴動作/身体と共感/究極の「死」の表現


 おわりに
 アニメーション作品データ
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