生命と医療の倫理

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生命と医療の倫理
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商品説明
医療の道に進む人のための倫理テキスト

医療現場で倫理的葛藤に直面したらどうすればいいか

医療者を志すとは、どういうことだろうか。
医療の現場では、人の生命や医療に関わる倫理的葛藤に直面し、倫理的判断を迫られる場面も避けられない。本書は、その長い道のりを歩む人のために、問題の本質を見抜き、深く考える力を育てるための学びを提供する。現場の事例と現代の課題を軸に、考え、議論し、自らの倫理的思考力を鍛える一冊。
思考を深める「問い」や資料も多数収載し、反転学習やアクティブラーニングなどにも活用できる。

◆著者

今井 竜也(いまい たつや)
【序章、第5・7・8・9・10・11・12 章、コラム2・4・6】
国際医療福祉大学 福岡薬学部 講師 博士(学術)
専門分野は、医事法、生命倫理、医療社会学
論文に、Social Aspects of Organ Donation in Japan: Considering the 2010 Revision of the Organ Transplant Law as a Turning Point (Journal of Philosophy and Ethics in Health Care and Medicine, No.16)、「人体を利用する医療の血縁者間実施とその規制のあり方――日本における第三者生殖医療と生体移植を例として」(『年報医事法学』第30 号」)など

加藤 太喜子(かとう たきこ)
【第2・3・4 章、コラム1・5・7】
岐阜大学 大学院医学系研究科 准教授 博士(情報科学)
専門分野は、生命倫理学、倫理学
著書に、『遺伝子と医療』(分担執筆・丸善出版)、『「医学的無益性」の生命倫理』(共編著・山代出版)など

石川 洋子(いしかわ ひろこ) 
【第1・6・13 章、コラム3】
兵庫医科大学 看護学部 講師 博士(文学)
専門分野は、医療倫理、倫理学、医療倫理教育
論文に、「アドボカシーは看護者の役割か」(『医学哲学・医学倫理』第28 号)、「医療におけるケアの双方向性とsupport というあり方について――メイヤロフのケア概念から」(『応用倫理――理論と実践架け橋』)vol.5)など
目次
はじめに


序章 なぜ倫理を学ぶのか

0.1 そもそも「倫理」とは何か──漢字の語源から考える「倫理」
 0.1.1 語源から考える「倫理」の意味
 0.1.2 倫理学とはなにか
0.2 「合理的な倫理的判断」が備えるべき条件
 0.2.1 事実と価値の区別──事実判断の正誤と価値判断の関係
 0.2.2 判断の一貫性──「道徳的に重要な違い」という概念
 0.2.3 公平な視点──そのために どう考え、行動するか
0.3 規範倫理学の基礎理論とその特徴──何が正しく、何が善いのか
 0.3.1 功利主義──「社会の構成員に最大の幸福をもたらす」
 0.3.2 義務論──「置かれた状況下において義務を果たす」
 0.3.3 徳倫理──「徳ある人と同じようなやり方で状況に対応する」
 0.3.4 生命倫理の四原則


第1章 患者と医療者――インフォームド・コンセントと患者の権利

1.1 自己決定とインフォームド・コンセント
 1.1.1 自己決定権とは
 1.1.2 インフォームド・コンセントの定義と意義
 1.1.3 自己決定における現場の課題と倫理的ジレンマ
1.2 現場で問われるインフォームド・コンセント vs. パターナリズム
 1.2.1 パターナリズムとは何か
 1.2.2 医療者の判断と説明責任
1.3 EBMとNBMの統合的アプローチ
 1.3.1 EBMとは──科学的根拠にもとづく医療 
 1.3.2 NBMとは──患者の物語にもとづく医療
 1.3.3 EBMとNBMの統合的アプローチ


第2章 生殖技術――「産むこと」をめぐる倫理問題

2.1 生殖技術の現在と課題
 2.1.1 不妊の定義
 2.1.2 人工授精と体外受精
 2.1.3 減数手術の問題点
 2.1.4 人工授精・体外受精の現状
 2.1.5 死後生殖
 2.1.6 受精卵の道徳的位置づけ
2.2 代理懐胎・子宮移植
 2.2.1 代理懐胎
 2.2.2 子宮移植
2.3 カップルと子どもの権利からみた生殖
 2.3.1 性の多様性
 2.3.2 同性カップルと生殖技術
 2.3.3 子どもの「出自を知る権利」

Clumn 1 優生思想が奪うもの


第3章 人工妊娠中絶――「産まないこと」をめぐる倫理問題

3.1 人工妊娠中絶の現状
 3.1.1 人工妊娠中絶の歴史的背景
 3.1.2 日本における人工妊娠中絶
3.2 出生前診断の方法
3.3 人工妊娠中絶についての制度設計
 3.3.1 選択的人工妊娠中絶
 3.3.2 女性の自己決定の問題なのか
 3.3.2 産むか産まないかの決断を支えるシステム


第4章 子どもの治療――生まれた命の責任と権利は誰にあるか

4.1 子どもの治療をめぐる問題
 4.1.1 治療のガイドライン
 4.1.2 話し合いのガイドライン
 4.1.3 協働での意思決定
4.2 子どもの権利と医療
 4.2.1 子どもの最善の利益
 4.2.2 誰が決定するのか
4.3 医療者が考えるべきこと


第5章 高齢化社会と終末期ケア――死をどのように迎えるか

5.1 終末期ケアをめぐる倫理的問題
 5.1.1 死を遠ざける「キュア」──医療の使命
 5.1.2 「終末期ケア」概念の登場──ホスピス・ケア、緩和ケア
 5.1.3 キュアとケア──高齢者医療、終末期ケアに必要なこと
5.2 日本における終末期ケアの実情
 5.2.1 日本における終末期ケアの広がり
 5.2.2 施設ケアと在宅ケアをめぐる課題
 5.2.3 終末期ケアと家族──本人の意思と家族の意思
5.3 終末期ケアには何が必要か
 5.3.1 ケアの切り替えという概念
 5.3.2 主体性をもって死と向かい合うために
 5.3.3 アドバンス・ケア・プランニング──患者本人の意思決定の支援
 5.3.4 死の受容と生への希望──矛盾する心をどう受け止めるか

Column 2 「ケアの倫理」と現代社会


第6章 安楽死・尊厳死――自分で死を選ぶということ

6.1 安楽死と尊厳死をめぐる基礎的理解
 6.1.1 定義と分類
 6.1.2 日本における法的枠組みと制度
 6.1.3 社会的・文化的背景
6.2 安楽死と尊厳死をめぐる国際的動向
 6.2.1 各国の法制度と実施状況
 6.2.2 制度設計と運用の実際
 6.2.3 国際的な議論と傾向
6.3 安楽死と尊厳死をめぐる倫理的検討
 6.3.1 生命の価値と自己決定権
 6.3.2 生命倫理の四原則との関係
 6.3.3 倫理的ジレンマと対話の必要性
 6.3.4 今後の課題と法整備

Column 3 死を想像することはできるか――選択と決断のあいだ


第7章 脳死と臓器移植――死はどのように決められるのか

7.1 「脳死」という新しい死の概念──登場の背景にあるもの
 7.1.1 死の定義
 7.1.2 「脳死」はなぜ可能となったか──人工呼吸器の利用
 7.1.3 脳死は人の死か──死の概念の変更をせまる
 7.1.4 死としての脳死と臓器の摘出──その先にある脳死臓器移植
7.2 1997 年臓器移植法の概要と問題点
 7.2.1 脳死概念の採用をめぐる問題──死の二重基準
 7.2.2 脳死提供の自己決定──家族モデルの自己決定の問題
 7.2.3 日本における脳死臓器提供の実態を考える
7.3 2009 年臓器移植法の概要と問題点
 7.3.1 脳死概念の採用をめぐる問題──死の二重基準の変更
 7.3.2 提供意思表示をめぐる問題──本人意思が明確でないケース
 7.3.3 小児脳死移植の実施──15 歳未満の心臓移植国内実施へ


第8章 移植医療――生体移植、再生医療

8.1 日本における生体移植の現状とルール
 8.1.1 日本における生体移植の現状と特徴
 8.1.2 生体移植のルールにはどんな形の規制があるか
 8.1.3 ガイドラインと日本移植学会倫理指針──日本のルール
8.2 生体移植の実施をめぐる問題
 8.2.1 提供の自発性と任意性の担保──血縁者だと問題はないのか
 8.2.2 生体ドナー保護をめぐる問題──軽視されてきた健康被害
 8.2.3 病腎移植の問題──医学的に無益、有害な行為なのか
8.3 再生医療
 8.3.1 再生医療──ES細胞、iPS細胞
 8.3.2 人工臓器──機械臓器、生体由来臓器、ハイブリッド臓器

Column 4 異種移植――提供臓器不足の解決と移植の安全性をめぐる問題


第9章 ゲノム医療――遺伝子操作・遺伝子治療の功罪と展望

9.1 ヒトゲノム解読からポスト・ゲノム時代へ
9.2 遺伝子を知る・操作することが医療にもたらす利益
 9.2.1 オーダーメイド治療──遺伝子情報にもとづく個別化医療
 9.2.2 遺伝病の予防と遺伝子治療の実施──「夢の治療法」
 9.2.3 人間の未来の創造──人類進化の手段
9.3 遺伝子を知る・操作することが医療にもたらす不安と倫理的問題
 9.3.1 遺伝情報との付き合い方──扱いが難しい究極の個人情報
 9.3.2 遺伝子レベルでの差別と生命の選別──遺伝子検査の問題
 9.3.3 遺伝子検査と人間の生き方
9.4 遺伝子治療から人間改造へ──「優れた資質を持つ人間」
 9.4.1 優生学の復活とエンハンスメントの範囲
 9.4.2 エンハンスメントはどこまで行くのか──治療から改造へ
 9.4.3 エンハンスメント利用をめぐる倫理的問題──誰が/何を/どのような条件で使うか

Column 5 デザイナー・ベビーの「苦悩」


第10章 健康と不健康──飲酒、喫煙を通して義務と自由を考える

10.1 飲酒・喫煙と自己決定・他者危害──倫理的な評価
 10.1.1 個人の尊重・幸福追求と飲酒・喫煙の権利
 10.1.2 飲酒と喫煙による他者危害──何をもって他者危害とするか
 10.1.3 飲酒と喫煙に対する規制──現在の規制の妥当性と合理性
10.2 健康の義務化と飲酒・喫煙
 10.2.1 義務化する健康──否定しにくい「健康」という価値
 10.2.2  健康の義務化が社会にもたらすもの
 10.2.3 健康の義務化と飲酒・喫煙の規制強化
10.3 義務としての健康と愚行権──「正しい・善い」ことばかりして生きたいのか
 10.3.1 「個人の生き方・価値観」と「義務としての健康」の対立
 10.3.2 「正しくない」「善くない」ことに不寛容な社会
 10.3.3 不健康なままでいる権利は認められないか


第11章 感染症とパンデミック──人と社会はどう行動すべきか

11.1 感染症・パンデミックと現代社会──グローバル化との関係
 11.1.1 歴史における感染症──抗生物質が変えた人々の意識
 11.1.2 感染症拡大とグローバル化──パンデミックの要因として
 11.1.3 感染症対策とグローバル化──国際協力推進の要因として
11.2 コロナ禍における倫理的問題──自粛要請をめぐって
 11.2.1 強制としての自粛要請──「お願い」がなぜ強制力をもつのか
 11.2.2 休業要請と保障をめぐる問題
11.3 繰り返された患者・医療者への差別と排除──過去の教訓から
 11.3.1 近代日本の公衆衛生行政──隔離による社会防衛
 11.3.2 患者の人権保護の困難さ──対処をめぐる理想と現実
11.4 感染症・パンデミック対策としての私権制約──その論理と倫理
 11.4.1 未知の感染症への対応としての移動と接触の制限
 11.4.2 海外における緊急時の私権制約──それを可能にするもの
 11.4.3 日本において緊急時の私権制約は可能か

Column 6 自己決定・自己責任とケイパビリティ・アプローチ


第12章 創薬と薬害──薬をめぐる倫理

12.1 医薬品研究開発・供給の倫理問題
 12.1.1 探求段階とそこでの倫理──対象疾患の確定と薬物標的の選択
 12.1.2 開発段階における倫理──試験から承認申請へ
 12.1.3 市販後調査の倫理──市販直後調査、再審査、再評価
12.2 医薬品臨床試験(治験)の倫理問題
 12.2.1 「倫理的かつ科学的な試験」は可能か
 12.2.2 プラセボ利用の倫理──「非倫理的」から「必要」へ
 12.2.3 臨床試験の対象にしてよい人/よくない人
12.3 日本における薬害と倫理──その歴史から問題をひもとく
 12.3.1 サリドマイド事件、薬害スモン、クロロキン中毒
 12.3.2 薬害エイズ
 12.3.3 薬害肝炎

Column 7 研究倫理――研究者の不正にはどんなものがあるか


第13章 医療専門職の役割と倫理

13.1 医療専門職としての基盤
 13.1.1 医療専門職とは何か
 13.1.2 倫理綱領と職業倫理
 13.1.3 守秘義務と個人情報の保護
13.2 医療現場における役割と連携
 13.2.1 薬剤師の臨床現場における役割
 13.2.2 看護師の臨床現場における役割
 13.2.3 患者中心のケアを支える専門職連携──薬剤師と看護師の協働
 ケーススタディ1「避難所での薬物療法と生活支援の連携」
 ケーススタディ2「病棟における慢性疾患管理を支える専門職連携」
13.3 現代医療専門職の倫理的課題と連携の未来
 13.3.1 倫理的課題への対応
 13.3.2 専門職としての成長と継続教育
 ケーススタディ3「2型糖尿病患者への生活指導と生涯学習」
 ケーススタディ4「転倒予防と看護師の内省」
 13.3.3 多職種連携の未来と課題
 ケーススタディ5「専門性の衝突と協働」


巻末付録
 1 薬剤師綱領/薬剤師行動規範(日本薬剤師会)
 2 看護職の倫理綱領(日本看護協会)
 3 倫理綱領(日本理学療法士協会)
 4 日本作業療法士協会 倫理綱領
 5 ヒポクラテスの誓い
 6 ニュルンベルク綱領
 7 世界医師会ジュネーブ宣言
 8 世界医師会ヘルシンキ宣言 人間の参加者を含む医学研究のための倫理的原則
 9 患者の権利に関する世界医師会リスボン宣言
 10 日本移植学会倫理指針(一部抜粋)

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