危機の時代のメディア論

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    商品説明
    危機が訪れるたびに分断されるつながりを人々は、何を「メディア」としてどのように再構築してきたのか。

    デジタルメディア上の儀礼やDIYジャーナリズム、あるいは祈りや地域コミュニティといった多種多様な「メディア」を介して自己変容を試みる現代社会の姿に迫る。

     


    […略…]危機とはたんなる破滅の予兆ではなく、メディアを介して社会が自らを再編し、新たな「現在時」を切り開くための自己変容のプロセスである[…略…]メディアという名の「媒介」が、いかにして絶望的な断絶のなかに継続の希望をつなぎ止めてきたのか。その動態を解明することこそが、先行きの見えない危機の時代を生き抜くための、私たちの共通の知的基盤となるのではないだろうか。(「序章」より)


     

    著者紹介(執筆順、*は編者)

    天田 顕徳*(あまだ あきのり)
    所属:北海道大学大学院メディア・コミュニケーション研究院 准教授
    担当:序章・第8章

    斎藤 拓也*(さいとう たくや)
    所属:北海道大学大学院メディア・コミュニケーション研究院 教授
    担当:序章・第1章

    藤野 陽平*(ふじの ようへい)
    所属:慶應義塾大学文学部 教授
    担当:序章・第3章・第11章・あとがき

    斉藤 巧弥(さいとう たくや)
    所属:札幌国際大学観光学部 講師
    担当:第2章

    白崎 弘泰(しらさき ひろやす)
    所属:北海道大学大学院メディア・コミュニケーション研究院 研究員
    担当:第4章

    清水 賢一郎(しみず けんいちろう)
    所属:早稲田大学教育・総合科学学術院 教授
    担当:第5章

    小林 宏至(こばやし ひろし)
    所属:山口大学人文学部 准教授
    担当:第6章

    鈴木 佑記(すずき ゆうき)
    所属:国士舘大学政経学部 准教授
    担当:第7章

    鈴木 純一(すずき じゅんいち)
    所属:北海道大学 名誉教授(元メディア・コミュニケーション研究院 教授)
    担当:第9章

    許 仁碩(しゅ じぇんしゅう/Jen-Shuo HSU)
    所属:北海道大学大学院メディア・コミュニケーション研究院 准教授
    担当:第10章

    辻本 篤(つじもと あつし)
    所属:北海道大学大学院メディア・コミュニケーション研究院 教授
    担当:補章
    目次
    序章 「危機」の時代を生き抜くために  天田顕徳・斎藤拓也・藤野陽平

    1 はじめに
    2 社会的な存在としての危機
    3 リスクと危機
    4 危機の時間性
    5 危機とメディア
    6 考察の対象と本書の構成

    第1部 持続する危機と継続する社会:技術・儀礼・コミュニティの再接続

    第1章 ラインハルト・コゼレックの危機の概念  斎藤拓也

    1 危機概念の射程
    2 原点としての『批判と危機』:近代世界の病理診断
    3 経験と期待の裂け目:近代の歴史的時間としての危機の生成
    4 『歴史的基本概念』における危機概念の体系化
    5 新たな問いと危機論の展開:核兵器と環境破壊の脅威

    第2章 コロナ禍におけるLGBTQのプライド・パレード
     儀礼から考えるオンラインでのパレード  斉藤巧弥

    1 はじめに
    2 メディア、社会運動、儀礼
    3 事例の概要
    4 オンラインでのパレードの再現
    5 儀礼としてのパレードと喪失の回復
    6 おわりに

    第3章 外国で被災するという経験
     外国人が集まり乗り切った危機  藤野陽平

    1 はじめに:外国で遭遇する危機に
    2 東日本大震災と宮古の被災の概況
    3 宮古の外国人たちはどのように震災を体験したのか
    4 外国人の場所というメディアとしてのオーシャンズ宮古国際交流倶楽部
    5 おわりに

    第4章 コロナ禍における外国人労働者と農家との通信システムの変化  白崎弘泰

    1 はじめに
    2 技能実習制度と在留資格・「特定技能」
    3 外国人労働者の受入システムの変化
    4 実習生のスマートフォンの所有と使用の状況
    5 通信システムの変化と古い通信システムの併存
    6 特定技能の受け入れによる使用するSNSの変化
    7 まとめ

    第2部 危機における回路:生存を媒介するメディアとコミュニケーションの再編成

    第5章 魯迅「鋳剣」再読
     危機のコミュニケーションを考えるために  清水賢一郎
    1 危機について考える手がかりとして
    2 「鋳剣」を読み直す
    3 鋳剣?
    4 わり切れなさのダイナミズム

    第6章 中国農村部におけるコロナ危機とメディア  小林宏至

    1 避けがたい困難な状況でひらかれる回路
    2 中国農村部における危機回避のための回路
    3 コロナ禍における情報のやりとりの変化
    4 親族グループで情報を共有すること
    5 「すぐに動き出した回路」と「すぐに動かなかった判断」

    第7章 海の暮らしの危機
     〈漂海民〉モーケンの船との関係性の変化から読み解く  鈴木佑記

    1 〈漂海民〉モーケンの住まい
    2 メディアとしての伝統船
    3 伝統船造りの衰退から消滅へ
    4 危機後の新たな船の登場

    第8章 地方消滅の危機と文化観光
     文化の価値の「スケーリング」試論  天田顕徳

    1 はじめに
    2 地域消滅の危機
    3 鶴岡市中期観光戦略プラン
    4 文化・観光・経済の好循環モデル
    5 目指すもののズレ
    6 結論

    第3部 例外状態と公共圏の再編:抵抗・連帯・救済のメディア論

    第9章 メディア機能としての「危機」  鈴木純一

    1 危機と日常・非常
    2 例外状態と決断:カール・シュミット
    3 国民国家と「均質で空虚な時間」:アンダーソン
    4 危機と「現在時」:ベンヤミン

    第10章 メディアの危機と対策
     台湾の市民が創り出したDIYジャーナリズム  許仁碩

    1 はじめに
    2 危機、DIY精神とジャーナリズム
    3 台湾80、90年代の民主化運動と「チーム緑」
    4 2014年「ひまわり運動」をめぐるDIYジャーナリズム
    5 メディアの危機を対処するDIYジャーナリズム:その機能と限界

    第11章 危機における祈り
     敵と味方を生み出すメディアとしての宗教と信仰  藤野陽平

    1 はじめに
    2 台湾史における度重なる植民地化と信仰
    3 エスニシティ間の紛争の犠牲者を祀る客家の義民廟
    4 清朝の鎖国解除、西洋列強の流入と日本の台湾出兵
    5 日本統治期と戦後の独裁政権、民主化運動
    6 戒厳令解除と祈りの自由化
    7 おわりに:危機の中、祈りを通じて誰とつながるのか

    補章 生成AIと危機  辻本篤

    あとがき
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