構想に10年、執筆に5年を費やし、
ここに「文明心理学」を提唱する。
「文明を築き、共生する心」とは――
…ここで問題にしたいのは,人間の心理は文明の発展の度合いによって大きな影響を受けるということである。たとえばSNSの返事が遅いと苛立つ人の心理は,通信手段に電話もなく手紙しかない時代の人の心理や,まして郵便制度すらない時代の人の心理とは程遠いものである。すなわち,現代人の心理は,文明の発展とともに形成されているのである。
…筆者は,発達心理学を専門にしてきたが,心理学が人間の幸福にとってどのように役立つかを考えてきた。心理学は,心の働きについての事実と法則を明らかにするのみにとどまらず,その成果を家庭,学校,職場など広く社会で実践することを通じて人間の幸福感を高めるものでなければならない。(「はじめに」より)
●著者紹介
子安 増生(こやす ますお)、京都大学名誉教授、博士(教育学)。
経 歴
1950年、京都市生まれ。1973年、京都大学教育学部卒業。
1975年、京都大学大学院教育学研究科修士課程修了。1977年、博士課程退学。
1977年、愛知教育大学教育学部助手。1982年、同助教授。
1988年、京都大学教育学部助教授。
1994年、文部省在外研究員、英国オックスフォード大学客員研究員(10か月)。
1997年、京都大学教育学部教授。1998年、同教育学研究科教授。
2014年、京都大学教育学部長・大学院教育学研究科長(2年間)。
2016年、京都大学定年退職。京都大学名誉教授。甲南大学文学部特任教授。
2021年、甲南大学満期退職。日本心理学会国際賞功労賞受賞。現在に至る。
研究業績
著書125点、論文113編、総説84編、翻訳書9点、辞典・事典15点など。
主な著書
幼児期の他者理解の発達(単著、京都大学学術出版会、 1999年)。
心の理論-心を読む心の科学(単著、岩波書店、2000年)。
Origins of social mind(Co-author, Springer, 2008)。
発達心理学Ⅰ・Ⅱ(共編著、東京大学出版会、2011年、2013年)。
教育認知心理学の展望(共編著、ナカニシヤ出版、2016年)。
公認心理師のための基礎心理学(単著、金芳堂、2019年)。
有斐閣 現代心理学辞典(監修、有斐閣、2021年)ほか。