「悩まないとダメやと思う。簡単には伝えられない。」
「今は防災教育の教訓を引き継ぐ一番のチャンスだろう。」
二代目語り部、笑いや祝祭を通じた継承、企業による取り組み、沈黙と葛藤、今も続く被災――
阪神・淡路大震災から31年。震災を知らない世代が多数となるなか、
震災の記憶や教訓を将来の世代にどう伝えていくのか。いま、神戸の街では、若い世代を中心にさまざまな新しい試みが行われている。神戸の地で進む新しい継承の試みの最前線を取材する。
「現在、各現場で起きているのは、単なる情報の伝達ではない。それは、語りの余白を共有し、沈黙や葛藤をも抱きかかえ、祝祭や制度を通じて日常のなかに震災を刻み直すという、極めて創造的な営みである。」(本文より)
●著者紹介
金菱 清(かねびし きよし)
関西学院大学社会学部教授。環境社会学・災害社会学。『3.11慟哭の記録――71人が体感した大津波・原発・巨大地震』(編著、新曜社、2012年、第9回出版梓会新聞社学芸文化賞)、『震災学入門――死生観からの社会構想』(ちくま新書、2016年)、『私の夢まで、会いに来てくれた――3・11亡き人とのそれから』(編著、朝日新聞出版、2018年)、『災害社会学』(放送大学教育振興会、2020年)、『永訣――あの日のわたしへ手紙をつづる』(編著、新曜社、2021年)、『災害の記憶を解きほぐす――阪神・淡路大震災28年の問い』(編著、新曜社、2023年)、『五感でとらえなおす阪神・淡路大震災の記憶』(編著、関西学院大学出版会、2023年)、『大災害と相対的トラウマ――出来事がいかにその人に生きられてきたのか』(ナカニシヤ出版、2025 年)等、著書多数。