◆第一句集
みほとけの一指は頬に春の風
第二次世界他戦時、激戦が展開されたミャンマー(旧ビルマ)の地を訪れた際、沈む太陽を全身で受け止めて、万感迫る涙を滲ませていた優しい作者の姿は、今も目に焼きついている。後年の仏像・仏跡を巡っての作品が生れる原点となった気がする……。
岩永紫好女(眞佐子)
◆岩永紫好女抄出十句
母からの春着の背に一つ紋
寒紅や秘め事すでにセピア色
花ごろも悪女願望なくもなし
金縷梅や奈良の仏はおほどかに
菜の花の道は奈良へと竹送り
後退の選択は無し蟻の列
じろ飴の中に泡ある薄暑かな
短夜の靴音ひびく旧市街
フラメンコ果て短夜の石畳
竜飛崎の海峡わたる虎落笛