◆第二句集
晒さるる鹿の目青し冬の川
猟夫に撃たれ、猟夫小屋の前の小川に晒される鹿。その目は閉じられることもなく、天使の現れるのを待っているかのようだ。目が青いのは、木々の緑が映っている所為であろうか。いや、まだ若い鹿なのであろう。
鹿に注がれる作者の慈しむようなやさしい眼差しが印象的である。
帯・坂口緑志
◆坂口緑志抄出十句
偵察のやうに流氷接近す
をちこちに地球の軋み返り花
ジョンレノン流るる茶房年惜しむ
春寒や下戸の杜氏の五感澄む
蛇消えて気配を残す野面積
木偶の髪を梳いて出を待つ浦祭
神馬ゆく菊の御紋の花衣
極楽へ誘うてをりぬ紅蜀葵
長編の小説閉づる夜長かな
翻すコートや三島由紀夫ゆく