◆百首シリーズに玉城徹が登場!
短歌としての美――
◆作品紹介
すでに〈詩〉の亡びたる世にうたはむとする滑稽を演じつつあり
(『枇杷の花』)
〈詩〉と呼ぶべきものは、とうに亡んでしまった。その残骸だけが残っている時代に、「うた」に執している。「うたはむとする滑稽」をいい、さらに「演じつつあり」をいうこの歌は、自嘲的な響きをもつ。
これは他者を揶揄したものではあるまい。玉城の中には、イデアとしての〈詩〉のあり方がある。それが亡びた世界に、「うたう」とはどういう意味をもつのか、また「うた」とは一体何なのか。冷笑を含みながら、自他に今を問うているのだろう。「つつあり」には、取り返しのつかない現在への思いが感じられる。