本書は、長年にわたり共同研究を続けてきたSGCIMEによる、グローバル資本主義の展開と変質のもとでますます重要性を高める「グローバル・サウス」、なかでも中国経済に焦点を当てた一連の共同研究の成果である。
宇野弘蔵は、資本主義の基礎理論を原理論として純化させるとともに、資本主義の発展段階を対外経済政策の類型を基準として「重商主義-自由主義-帝国主義」の三段階として明らかにした。そして第一次大戦後の資本主義を社会主義への過渡期と位置付け現状分析の対象とした。
しかし第二次大戦後、アメリカを中心とするパックス・アメリカーナ体制が確立して新たな発展を見せ、他方でソ連・東欧の社会主義体制は崩壊して、中国をはじめ多くの旧社会主義国家が資本主義のシステムを取り入れている。こうした事態は、宇野段階論に基づく現代資本主義論にも大きな見直しを迫るものとなっている。
本書第1章の執筆者である河村哲二は、宇野段階論を批判的に継承発展させる理論フレームワークを展開してきたが、その特徴は第二次世界大戦以降の発展段階を「パックス・アメリカーナ段階」と規定し、第一次大戦以前を「パックス・ブリタニカ段階」として再構成するものである。その理論的射程は、資本主義の発展段階論にとどまらず、原論体系の再構成から現代世界分析の理論的フレームワークに至るまで重要な役割を果たし、本書全体を貫く視角となっている。