昨今重要性が高まっている圏論を、初学向けに具体例を挙げながら解説。冒頭の準備の章において、本文中で圏と関手の例として用いられる数学の基本事項をまとめており、独習に適した構成となっている。後半部分では、発展的内容としてテンソル圏の話題を扱う。
圏論全般の基礎知識が身につくのみならず、その先の想像以上に豊かな圏論の世界を垣間見ることができる、新たな入門書がここに。
●基礎知識を携え、その先の“鮮やかな景色”を巡る旅へ――
本書は大きく分けて、準備としての第1章、圏論全般の基礎を解説する第2章から第4章、テンソル圏に特化した内容を扱う第5章から第8章の3部構成となっている。
第1章では復習を兼ねて、集合、群、ベクトル空間、代数、加群、位相空間、結び目、組み紐といった、圏と関手の具体例を与える数学の基礎概念をまとめている。特に、結び目と組み紐は、後述のテンソル圏の理解において本質的な役割を果たす。第2章から第4章では、圏、関手、自然変換、圏同値の定義と例、米田の補題について述べたあと、普遍性と随伴関手、およびアーベル圏の理論を丁寧に解説する。
第5章以降では、テンソル積を備えた圏に関する話題を扱う。マックレーンの連接定理(証明は裳華房Webページに付録として掲載予定)の主張とその意味をはじめ、双対をもつモノイダル圏、組み紐同値とリボン圏などについて解説したのち、最終章では、リボン圏からモノイダル関手を経て構成される結び目不変量と、アーベルモノイダル圏の完全可約性を応用として取り上げる。最後に締めくくりとして、淡中-クレイン再構成の現代的定式化を紹介する。