はじめに
第1章 「同調」を取り入れた戦い方
1 大相撲の立ち合いが示す「同調」と「競争」の交錯
2 剣道の「間合い」と同調――エントレインメントのなかで生じている身体の関係性
3 伝統芸能にみる「同調」と「競争」――極限まで同調したうえでの対立
第2章 剣術における「同調」と「競争」の戦略的展開
1 捨て身――潜在的な「同型同調」による「読み」を最大限にする戦法
2 敵に随ひて勝つ――柳生新陰流「転」にみる「応答同調」の様相
3 「彼我一体」をめぐる技術
第3章 「水月移写」にみられる身体感覚の二重性――同型同調から応答同調への転換
1 「懸待」が示す身体感覚の二重性
2 「水月移写」における放心作用と身体感覚の二重性
3 「母月」と「子月」の関係性
4 「水月移写」の背景的メカニズム
5 ミラーニューロン――敵の動きを自分のうちに写し出す
6 自在無碍な応答同調への転換のメカニズム
7 放心作用の様相に基づいた剣術の分類
8 「気」と「身体感覚」の問題
第4章 柔術――身体的関係性を操作する
1 敵に随応して勝つ
2 「相気」という関係性(エントレインメント)をはずして勝つ
3 戦いの具体的様相――本覚克己流を例に
4 身体的関係性の遮断・攪乱
第5章 剣術における「精神修養」の目的化――剣道界の自己矛盾
1 剣術衰退・復興のなかであらわれた「精神修養説」
2 戦争との関連を強めていく剣術――実戦技術として、心身鍛練として
3 「死ぬ覚悟」を養う鍛錬としての剣道
4 伝統武道から新武道へ
5 剣道界の自己矛盾
終 章 研究の要約と敷衍
1 身体の潜在的作用
2 同調を重視する競技文化としての将棋・囲碁
3 連(つらなり)のなかで
4 「同調」的要素はスポーツにおいてどう組み込まれるか
あとがき