スマートフォンの普及によって、私たちはこれまでにも増して、毎日大量の写真を目にしている。自分で撮影した写真をSNSを通じて発信する。ECサイトで広告写真を見てモノを購入する。旅行先を写真を見て選ぶ――。
あるときは写真を凝視し、あるときはすばやくスワイプして流し見る。いま、私たちは、写真をどのように見てそこにある現実を理解し、その現実を信じているのか。加工・修正された写真の背後に、様々な事実や出来事があることをなぜイメージできるのか。
「Instagram」の写真とハッシュタグ、35年ものあいだ新宿を定点観測した写真、月面写真などの多様な事例を紹介しながら、「写真を見る」という経験の多層性を写真理論を駆使して分析する。写真を通じて私たちのなかで複数の現実が重ね合わせられ、一つの「現実」が立ち上がる瞬間、すなわちイメージがつくられる瞬間を捉えようとする写真論の新たな地平。
【目次】
はじめに
第1章 揺り動かされる写真
1 「ニューヨーク」の自由の女神像
2 写真=事実・真実
3 「理想」の写真
4 揺らぐ「理想」
5 見方を定める・覆す
第2章 写真が生み出すイメージ
1 写真とイメージ
2 写真が伝えるもの=視覚情報
3 イメージを形づくるもの
4 SNS写真とイメージの対象
第3章 イメージの時間性・空間性
1 写真の時間性・空間性
2 二つの時間・空間軸とその結合
3 イメージの時間性
4 イメージの空間性
第4章 写真の裏側/イメージの作り手
1 撮影対象・写真・イメージの関係性
2 写真の裏側にある現実
3 情報の関連付けとイメージの関係
4 イメージと現実の関係
第5章 現実をつなぐ写真
1 プロセスとしての「写真」
2 均衡状態としての写真性
3 結節点としての写真
おわりに