初めまして。桐原琢(きりはら・たくま)と申します。まず、元YouTuberという正体不明の若造が書いた本書を手に取っていただき、本当にありがとうございます。
私は、広島県にある全日制普通科、学校法人松本学園広島桜が丘高等学校で、2026年3月末まで副校長として学校改革を進めてきました。広島県では、「教員免許を持たない、元YouTuber新卒1年目24歳の私立高校副校長」として、ニュースなどで取り上げられたので、もしかしたら知ってくれている人もいるかもしれませんが、多くの人にとっては、パンダの被り物をもった元YouTuberが教育なんてできるのかと、疑問を持ったことでしょう。
私はこれまでテレビや新聞、ネット記事などで、「約78万人の教育系YouTuber」「24歳の新卒副校長」「学校改革リーダー」といったキャッチコピーで紹介されてきました。こうしたコピーのような言葉を並べると、何だか「ものすごく優秀で、完璧なエリート」のように思えるかもしれません。
でも、最初に大前提をお伝えさせてください。 私は、決して優秀で完璧な人間ではありません。
それどころか、小学生の頃はカレンダーも読めず国語のテストで0点を取り、東大を目指すも3回も落ち、副校長になってからは自分の底浅い傲慢さから現場の先生方とぶつかり、一時期は、学校改革の前線から離脱せざるを得なくなるなど、20代前半まで大失敗と挫折だらけの人生を過ごしてきました。この本は、そんな未熟な私が挑戦した学校改革について記したものです。自分のカッコ悪くて恥ずかしい失敗も含めて、すべてをさらけ出しています。なぜ恥ずかしい思いをするのに、この本を書こうと決めたのか。
それは、今の日本に強い危機感を抱いているからです。誰もが失敗を恐れて「誰かの決めた正解」を待ち、その一方で、自分一人が勝ち抜く方法ばかりを追い求めて他人の人生には無関心になっていく。そんな時代だと感じるからです。
誰もリスクを取らず、自分の軸を持たないから、他者と深く関わることもできない。そんな社会の閉塞感を打ち破り、日本を教育の力で引き上げていきたい。そんな大きな無謀にも見える志を胸に抱いて、私は広島桜が丘高校という「崖っぷち」の学校の改革に飛び込みました。