AI時代の詐欺罪

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商品説明
◆脆弱な消費者を狙い撃つ巧妙な詐欺の横行、果たして国家の監視は機能するのか◆
AI・ITの「情報革命」のまさに新時代の到来。進化しつづける情報操作犯罪と、止まることのない詐欺犯罪に、刑事法学的視点から、気鋭の研究者21名が挑み、包括的・多角的に考究する。時代の要請に応える必須・必読の書。
目次
『AI時代の詐欺罪』

  長井 圓(中央大学法科大学院フェロー) 編著

【目 次】

・はしがき

◆1 IT社会における「個人の尊厳」と「財産の自律」〔長井 圓〕

Ⅰ 序章―情報通信技術の光と影
 1 人間の尊厳とAIの自律
 2 人間の尊厳と技術の両面性
 3 個人の尊厳と個人の自律
 4 個人情報保護の根拠
Ⅱ 2つの実例―「成り済まし」による責任主体の隠蔽・捏造
 1 いわゆる「成り済まし」の「反社会性」
 2 実例1
 3 実例2
Ⅲ 人類の直面する危機と民主主義・自由主義・資本主義
 1 AI技術のもたらす不公平・資産格差
 2 真実から目を外らす大衆迎合政治(Populism)と関心誘導経済(Attention Economy)との融合
 3 戦後政権の大罪―日本現代史
 4 平和と戦争の葛藤
Ⅳ デジタル社会の法規制
 1 AIと人の法的責任
 2 AIの功罪をめぐる論争
 3 個人情報保護と監視国家・監視資本主義の憲法規制
 4 デジタル情報の安全保障と法規制のあり方

◆2 詐欺罪と経済刑法〔穴沢大輔〕

Ⅰ 問題意識
Ⅱ 詐欺類似ケースへの対応
Ⅲ 組織化された詐欺への対応
Ⅳ 営業秘密の侵害
Ⅴ 今後の方向

◆3 刑事手続におけるデジタルデータに対する捜査機関のアクセスに関する一考察―EUにおける議論を参考として〔藤本幸二〕

Ⅰ はじめに
Ⅱ 問題の所在
Ⅲ 日本における現状と課題
 1 捜査機関によるデジタルデータへのアクセスの捜査法上の位置づけ
 2 1を正当化するための手続
Ⅳ アメリカ合衆国の状況
 1 アメリカ合衆国
Ⅴ EUにおける状況
 1 ECHR第8条とデジタルデータへのアクセス
 2 加盟国の事例―オランダとイタリア
Ⅵ 日本法に対する示唆,あるいは影響

◆4 民法・刑法の財産法における統合と独立〔高橋則夫〕

Ⅰ はじめに
Ⅱ 刑罰と損害賠償の差異性
 1 刑罰と損害賠償
 2 刑事不法と民事不法
 3 刑法と民法の接近―損害回復―
Ⅲ 刑罰と損害賠償における機能論と規範論
Ⅳ 刑法における規範論的基礎
 1 法規・法命題・法規範
 2 行為規範と制裁規範
Ⅴ 民法と刑法における行為規範―民法従属性と民法独立性
Ⅵ 詐欺行為における民法と刑法の交錯 
Ⅶ おわりに

◆5 民法・刑法における財産的価値の評価について〔内海朋子〕

Ⅰ はじめに
Ⅱ 保護に値する財産的価値の外延
 1 支配の始期
 2 支配の終期
Ⅲ 財産的価値を評価する主体
 1 被害者による独自の価値の設定
 2 消極的価値の議論
 3 行為者による独自の価値の設定
 4 小括:価値の大小を決するファクター
Ⅳ 対象物の性質に応じた支配の設定
 1 有体物と無体物
 2 有体物における支配の設定
 3 無体物における支配の設定
Ⅴ 結 語

◆6 民事不法原因給付と詐欺罪の成否(判例と学説)〔海老澤侑〕

Ⅰ はじめに
 1 問題の所在
 2 判例,学説の基本的立場
Ⅱ 想定事案
 1 金銭詐取後,返還拒否事例
 2 不法債務履行後,対価未払い事例
Ⅲ 検討項目
 1 何を重視しているのか
 2 「不法原因給付と詐欺罪」で問題となる財物・利益
 3 違法の相対性について
Ⅳ おわりに

◆7 ドイツ刑法における契約の「締結詐欺」と「履行詐欺」〔渡辺靖明〕

Ⅰ はじめに
Ⅱ ドイツ刑法の詐欺罪の「全体財産」及び「全体財産損害」の概念(概要)
 1 法的経済的財産概念
 2 「差引」による全体財産損害と「主観的損害の考慮」
Ⅲ 「締結詐欺」と「履行詐欺」の類型
 1 「締結詐欺」
 2 「履行詐欺」
Ⅳ 「締結詐欺」と「履行詐欺」をめぐる裁判例
 1 締結詐欺
 2 「履行詐欺」(真正の履行詐欺)の裁判例
 3 「履行詐欺」(不真正の履行詐欺)の裁判例
Ⅴ 不真正の履行詐欺をめぐる裁判例・通説への批判的見解
 1 概 要
 2 若干の考察
Ⅵ むすびにかえて

◆8 1項犯罪と2項犯罪の区別について―財物と財産上の利益の再検討を通して〔佐藤結美〕

Ⅰ 問題の所在
Ⅱ 「財物」と「財産上の利益」に関する従来の議論について
 1 財物における財産的価値について
 2 財産上の利益における財産的価値について
Ⅲ 具体的な事案に関する検討
 1 2項犯罪の成立範囲について
 2 1項犯罪と2項犯罪の交錯について
Ⅳ おわりに

◆9 刑法における債権ないし経済的利益の保護 〔二本栁誠〕

Ⅰ はじめに
Ⅱ 刑法における債権の保護
 1 立法―単なる債務不履行は不可罰
 2 債権にまつわる法律行為及び事実行為並びに価値減少
 3 判例―債権を客体とする2項犯罪
Ⅲ 刑法における経済的利益の保護―財産概念からのアプローチ
 1 財産概念に関する学説
 2 財産概念に関する判例
 3 若干の検討

◆10 刑法における情報・秘密・無体財産の保護〔荒木泰貴〕

Ⅰ はじめに
Ⅱ 情報を得る目的による財物に対する移転罪の成否
 1 情報の非移転性による限定
 2 記録媒体(有体物)とは独立した情報の移転の必要性
 3 記録媒体の一時的な持ち出しと不法領得の意思
 4 小 括
Ⅲ 情報を得る目的による財産上の利益に対する罪(2項犯罪)の成否
 1 情報の非移転性ないし素材同一性による限定
 2 情報の内容・性格に応じた検討の必要性
Ⅳ 非移転罪である横領罪の成否―領得概念の整理の必要性
Ⅴ おわりに

◆11 電子決済に関する詐欺罪の行為態様について―QRコード詐欺の擬律を中心に〔瀧本京太朗〕

Ⅰ はじめに
Ⅱ QRコードを用いた詐欺の態様について
 1 問題の所在
 2 検討の流れ
Ⅲ 不正指令電磁的記録作成罪の成否
 1 電磁的記録の対象
 2 「虚偽の情報」および「不正な指令」
 3 小 括
 4 QRコードの「電磁的記録」該当性
Ⅳ おわりに

◆12 詐欺罪における正犯と共犯〔小島秀夫〕

Ⅰ はじめに
Ⅱ 語用論に基づく詐欺罪の犯罪構造
 1 コミュニケーション行為としての実行行為
 2 心理的因果性の因果的説明と志向的説明
Ⅲ 準備段階での関与行為
Ⅳ 承継的共犯
 1 実行行為終了後から既遂までの関与
 2 既遂後から終了までの関与
Ⅴ おわりに

◆13 特殊詐欺と共同正犯をめぐる近年の議論について―いわゆる包括的共謀を素材として〔照沼亮介〕

Ⅰ はじめに
Ⅱ 特殊詐欺事案における「包括的共謀」が問題とされた事例
Ⅲ 裁判例の用語法が有する理論的意義の確認
 1 「射程内」であるか否かの問題として検討されていること
 2 特殊な「犯罪集団」「グループ」によるものか否かとは関係がないこと
 3 狭義の共犯との間で理論的な位置付けに関する差異は存在しないこと
Ⅳ 学説における議論のあり方
 1 判例に対する態度
 2 従来の議論に対する態度
 3 今後の学説に対する態度
Ⅴ おわりに

◆14 準詐欺罪規定の解釈をめぐる議論:学説の系譜〔冨川雅満〕

Ⅰ はじめに
Ⅱ 旧法下の議論
 1 罪質について
 2 被害者の属性について
 3 行為について
Ⅲ 現行法での議論その1:戦前期
 1 罪質について
 2 被害者の属性について
 3 行為について
Ⅳ 現行法での議論その2:戦後から現在まで
 1 議論の消失した点
 2 意思無能力者・心神喪失者の取扱い
Ⅴ 準詐欺罪の要件解釈にかかる試論
 1 準詐欺罪の罪質理解について
 2 被害者の属性について
 3 行為について
 4 交付要件について
Ⅵ おわりに

◆15 窃盗罪と詐欺罪・電子計算機使用詐欺罪との限界〔山中純子〕

Ⅰ はじめに
Ⅱ 窃盗罪と詐欺罪・電子計算機使用詐欺罪の区別
 1 窃盗罪と詐欺罪の構成要件的区別
 2 窃盗罪と電子計算機使用詐欺罪の構成要件的区別
Ⅲ 窃盗罪と詐欺罪の食い違い
 1 「特殊詐欺」の概括的共謀
 2 「特殊詐欺」の概括的故意
 3 窃盗罪と詐欺罪の抽象的事実の錯誤
Ⅳ 窃盗罪と電子計算機使用詐欺罪の食い違い
 1 「特殊詐欺」の概括的共謀
 2 「特殊詐欺」の概括的故意
 3 窃盗罪と電子計算機使用詐欺罪の抽象的事実の錯誤
Ⅴ おわりに

◆16 詐欺罪と恐喝罪の「区別」・「関係」〔芥川正洋〕

Ⅰ はじめに
Ⅱ 検討対象
 1 欺罔と脅迫の併用事例の2類型
 2 処分行為の心理状況
 3 問題状況
Ⅲ ドイツにおける議論
 1 脅迫と欺罔の併用
 2 欺罔が脅迫の一内容となる場合の詐欺罪の否定
 3 試金石
 4 小 括
Ⅳ 処分行為と心理状況
 1 錯誤と畏怖の心理過程
 2 詐欺罪と恐喝罪の「区別」?
 3 詐欺罪と恐喝罪の「関係」
Ⅴ むすびに

◆17 詐欺罪と背任罪との限界について〔品田智史〕

Ⅰ はじめに―問題の設定
Ⅱ 詐欺罪と背任罪の罪質について―個別財産に対する罪と全体財産に対する罪の観点から
 1 詐欺罪
 2 背任罪
Ⅲ 詐欺罪と背任罪との限界設定について
 1 判例・学説の概要
 2 交差する二つの円としての詐欺罪と背任
 3 詐欺罪の構成要件該当性について検討すべき問題
Ⅳ 結びにかえて

◆18 刑法の詐欺罪と特別法・行政法の詐欺罪(詐欺隣接罰則)〔星周一郎〕

Ⅰ はじめに
Ⅱ 行政刑罰法規における詐欺隣接罰則の概要
Ⅲ 国家的法益に関する詐欺隣接罰則と詐欺罪
 1 国家的法益に対する詐欺罪の成否
 2 租税犯罪と詐欺罪
 3 補助金等不正受交付罪と詐欺罪
 4 生活保護法上の不正受保護罪
 5 小  括
Ⅳ 社会的法益に関する詐欺隣接罰則と詐欺罪
 1 犯罪収益移転防止法上の通帳譲渡罪
 2 預金通帳の不正取得行為と詐欺罪の成否
 3 通帳譲渡罪と詐欺罪との罪数関係
Ⅴ 特別法・行政法に詐欺隣接罰則を設ける意義
 1 詐欺隣接罰則を設ける意義・その行為態様・その保護法益
 2 詐欺罪による立件困難性とその対応策としての詐欺隣接罰則
Ⅵ AI時代の詐欺行為と特別法による処罰規定の意義―むすびに代えて
 1 詐欺罪処罰の機能面での拡大と当罰性
 2 AI時代の詐欺行為処罰のあり方に関する基本的視座

◆19 詐欺罪と罪数〔秋山紘範〕

Ⅰ はじめに
Ⅱ 昭和61年決定
 1 事案の概要
 2 決定要旨
 3 検 討
Ⅲ 平成14年決定
 1 事案の概要
 2 決定要旨
 3 検 討
Ⅳ 平成22年決定
 1 事案の概要
 2 決定要旨
 3 検 討
Ⅴ むすびに代えて

◆20 詐欺罪と量刑〔城下裕二〕

Ⅰ はじめに
Ⅱ 先行研究
Ⅲ 近時における詐欺罪の量刑判断の動向―特殊詐欺を中心に
 1 詐欺罪の科刑状況
 2 特殊詐欺の類型および科刑状況
 3 特殊詐欺の量刑判断

◆21 【余論】詐欺罪の体系的解釈論〔長井 圓〕

Ⅰ 個人の自律と財産の概念
Ⅱ 日本刑法とドイツ刑法との混同
 1 日本法はドイツ法ではない。
 2 明治40年刑法典の成立過程
 3 日本のドイツ刑法学
Ⅲ ドイツ詐欺罪規定の失敗
 1 財産の概念と財産犯罪の体系
 2 強盗罪と恐喝罪との関係
 3 法秩序の統一性
 4 詐欺罪の侵害客体としての「債権」
 5 詐欺罪の比較法的考察
Ⅳ 旧刑法から現行刑法に至る詐欺罪の規定
 1 江木衷による旧刑法の詐欺罪論
 2 ルドルフの意見と明治23年草案
 3 林幹人の統一的全体財産概念
Ⅴ 1項詐欺罪と2項詐欺罪との同質性
 1 書かれざる「構成要件要素」?
 2 「財産上の利益」(2項)の意義
 3 1項と2項との価値的同質性
 4 2項における「処分行為」の意義
Ⅵ 法益関係的錯誤説と実質的財産概念
 1 法益と犯罪構成要件の構造
 2 実質的個別財産説の当否
 3 法益関係的錯誤説の当否
Ⅶ 欺罔行為と動的未遂の構成要件的制約
 1 詐欺罪(246条)の未遂から既遂への発展
 2 実行の着手と未遂の構成要件
 3 着手未遂・終了未遂と刑の裁量的減軽規定
 4 欺罔行為の法的性質(対等性と侵襲性)
Ⅷ 詐欺罪の間接正犯性
 1 問題の所在
 2 学説の対立
Ⅸ 民事不法原因給付と刑法の処罰根拠
 1 問題の所在
 2 刑事訴訟と民事訴訟との分離独立性
 3 刑事財産法における民事不法原因給付法の混入
Ⅹ 帰結―民法と刑法との法秩序の機能的統一性
 1 財産犯罪をめぐる応報刑論と予防刑論との対立
 2 所有権体系における民刑の役割分担
 3 刑法における財産概念
 4 詐欺罪の欺罔要件
 5 詐欺罪における未遂要件
 6 民事不法原因給付法と民事訴訟制度
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