歴史を動かした人ではなく、歴史に巻き込まれた人から幕末を見てみると? 商人、豪農、藩士、知識人――彼らは何を知り、どう動いたのか。「普通の人々」の目から描き直す幕末史。
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ペリー来航、桜田門外の変、禁門の変、長州戦争、戊辰戦争――。
本書は、現在の愛知県豊橋市周辺を治めた三河吉田藩を通して、幕末史の「その他大勢」とされる藩や人々にとって幕末とはどのような時代だったのかを描く。
本書が注目するのは、「情報」である。桜田門外の変などの大事件は、地方にどう伝わったのか。飛脚、御用状、商人や国学者のネットワーク、風説を通じて、藩士だけでなく商人や知識人、民衆までが情報を集め、その真偽を確かめていた。御用達商人の記録には、「武鑑」(紳士録のような刊行物)で情報を確かめる、現代のファクトチェックを思わせる姿も登場する。
さらに、最後の藩主・松平信古(のぶひさ)にも光を当てる。大坂城代として将軍上洛や禁門の変など幕末政治の渦中に身を置きながら、これまでほとんど知られてこなかった人物である。
――(本書「はじめに」より)
本書は幕末史の全体像や幕末期に活躍した有名人を取り上げるわけではない。江戸時代に現在の愛知県豊橋市周辺を中心に七万石を治めた三河吉田藩の視点から幕末という時代を覗いてみようという、なかなかにニッチな内容である。
――(目次より抜粋)
第1章 三河吉田藩最後の藩主 松平信古
第2章 桜田門外の変の伝わり方
第3章 最後から二番目の大坂城代
第4章 御用達の情報収集
第5章 変革を求める民衆と情報
第6章 戊辰戦争と三河吉田藩
■著者略歴
久住祐一郎(くすみ・ゆういちろう)
豊橋市美術博物館学芸員。1984年、新潟県生まれ。岡山大学教育学部卒業。同大学院社会文化科学研究科博士前期課程修了。豊橋市二川宿本陣資料館学芸員を経て現職。交通史学会常任委員。著書に『三河吉田藩・お国入り道中記』『江戸藩邸へようこそ』 (インターナショナル新書)、『参勤交代のお勘定』(中公新書ラクレ)、『三河吉田藩』(現代書館)など。