ブロックチェーン技術が登場してから10年以上が経過し、その影響力はビジネスや社会に広がりを見せています。すでに多数の文献やドキュメントがありますが、理論と概念を説明するだけのものがほとんどで、具体的な実装やアプリケーション開発の手順を示しているものが少ないのが現状です。
本書は、そういった理論と実践のギャップを埋めるための書籍です。次世代のエンタープライズ向けブロックチェーンプラットフォーム「Symbol」を活用し、アプリケーションやシステムを構築するための実用的なガイダンスを提供しています。
Symbolブロックチェーン(以前は「NEM」と呼ばれていました)は、エンタープライズ向けに開発されているため、ビジネスユースでのシステム構築(暗号通貨による決済システム、スマートコントラクト、ファイルなどの実物性の証明、トレーサビリティの追跡システムなど)に有用な機能を構築しやすくなっています。
第1章では、Symbolブロックチェーンを利用するために必要な環境構築について説明し、ツールの導入と確認、SDKの導入、デスクトップウォレットのセットアップ、テストアカウントによる動作確認を行っています。第2章は、本書のハイライトの1つといっても過言ではなく、Symbolブロックチェーンの各機能について、デモアリプリケーションを構築し、実際に動かしてみながら確認していきます。この章をクリアできれば、どんなアプリケーションでも作れるようになります。第3章では、実際にブロックチェーンがどのような領域で使われているかを見ていきます。第4章から第8章では、第3章で確認したそれぞれ領域において、具体的な実装を行いながら学んでいきます。