ヨーロッパの古城や宮殿のような煌びやかな外観、ネオンが輝きベッドが回るアミューズメントパークのような室内、そして窓がなく外との関わりを断った薄暗くてどこか妖しい雰囲気…。そんな摩訶不思議で奇想天外、そして唯一無二の空間がラブホテルにはあります。
ラブホテルは高度経済成長期に大きく発展し、それ以降の日本の都市景観や市民のライフスタイルに大きな影響を与えました。しかしラブホテルはその性質上、エロティックな部分ばかりが注目され、日本の近代建築史やデザイン史に取り上げられることは殆どありませんでした。また、法規制の強化やトレンドの変化など様々な理由でこれらは急速に姿を消しつつあります。十分な記録も残らないまま解体されてしまったラブホテルも多く、日本の建築史・デザイン史から取り残された存在となりつつあります。
そこで本書では、10年以上にわたる現地調査及び文献調査に基づき、手書きのスケッチという形で、その姿を可能な限り忠実に記録しました。このスケッチが、単なる懐古にとどまらず、昭和に花開いた建築文化の多様性を考える手がかりとなれば幸いです。