誰もができる、読書バリアフリーに向けた「小さな革命」の始め方
1970年代から障害の有無にかかわらず、地域の学校で共に学ぶインクルーシブ教育が行われているイタリアで育まれた、誰もが一緒に読むことのできる「さわる絵本」。
本書では、これまでに制作されてきたアイディアに溢れ、インスピレーションを与えてくれる美しい「さわる絵本」の作品群とともに、その独自の方法論や道具・素材を明示した具体的な制作方法を紹介します。加えて、イタリアにおける「さわる絵本」の制作・普及を牽引してきたコンクールやワークショップをはじめ、図書館や美術館などとの密接な協働、さらには地域や国を超えて情報を共有するネットワークづくりまで、関係者たちの実践方法や現場の声なども知ることができる手引き書です。本書を読むことで、私たちの暮らす社会において「インクルーシブな読書」を実現するための、すべての人にひらかれた「小さな革命」に参加する手がかりを得ることができます。
本書の著者ロベルタ・ブリッダ氏は、イラストレーター、製本家、美術教育者、研究者など複数の顔をもち、「さわる絵本」の論文執筆や研究、幼稚園・小学校の教師を目指す学生たちへの美術教育、そしてイラストレーターとしても活動するとともに、実験的なさわる絵本の制作、展覧会、ワークショップに力を注いできました。また、本書に詰め込まれたさまざまなアドバイスはすべて、2011年よりイタリア全国さわる絵本コンクール「トッカ・ア・テ!(TOCCA A TE!)」を主催し、「さわる絵本」の制作・普及に尽力してきた全国視覚障害者支援施設連盟(Federazione Nazionale delle Istituzioni Pro Ciechi ETS)が、その長年の活動と経験をもとに有用な情報だと認めたものです。
翻訳・監修を手がけるのは、長年イタリア・ボローニャ国際絵本原画展のコーディネートを手がけ、「トッカ・ア・テ!」の審査員を務めるなど、文化メディエーターとして活躍する森泉文美氏です。また、イタリア・ボローニャ国際絵本原画展を毎年開催する板橋区立美術館において、イタリアの「さわる絵本」の収集・調査、「さわる絵本」に関連した展示〈触って「視る」ボローニャ展〉や〈「視る」を超えて〉プロジェクトを牽引してきた同館館長の松岡希代子氏、そして日本で長きにわたって視覚障害者の「さわる文化」の育成に尽力し、視覚障害者の文化向上に貢献した個人・団体に贈られる本間一夫文化賞を受賞した大内進氏が監修を担当します。