北半球からの視線が注がれにくく「ダウン・アンダー」(対蹠地)と呼ばれるオーストラリアで、建国前夜から現代に至るさまざまなタイミングで制作された「ポートレート」作品を、その背景を成す歴史・社会・文化の「鏡」として解読し、複層する人種・ジェンダー・階級の問題を考察する。入植者植民地主義の歴史的文脈と、その「負の遺産」の清算の困難性も視野に収めながら。
併せてオーストラリア固有の象徴性を探るとともに、人間の営みの根幹に由来する感情のメカニズムの普遍性を確認すべく分析を行い、「ダウン・アンダー」の特殊性と人間の普遍性が衝突・交錯・混淆する一瞬を捉えた「ポートレート」作品それぞれの新たな見方を提示する。