宣戦布告なき特殊戦争

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商品説明
本書はロイター通信記者だったフランク・オリバーが一九三八年末に書き下し、翌年に出版した『Special Undeclared War』(宣戦布告なき特殊戦争)の翻訳である。オリバーの詳しい経歴は不明であるが、防衛省防衛研究所にある、北支派遣杉山部隊報道部の「在北京外国通信員及記者ニ関スル参考事項」(一九三八年一二月二六日)の中に、オリバーに関する記述がある。それによると、当時、中国駐在十五年、三十六歳とあり、ベテラン記者である。
北支方面軍報道部長を務めた永井卯吉郎大佐は、「支那における外人記者」(支那派遣軍報道部編『紙弾』(一九四三年刊)所収)と題する一文でオリバーについて、「個人として敵性を発揮したものに、今一人北京の『ロイター』通信社員のオリバーなる者がある。彼は『宣戦無き戦争』と題する彼の著書に於て、抗日反日の毒筆を揮って全頁を埋めて居る」と酷評している。
永井はオリバーについて辛辣に述べているが、「在北京外国通信員及記者ニ関スル参考事項」は彼について、「英国人。温厚、能力甲。個人的ニハ立派ナ紳士ニシテ同僚間ノ人気亦極メテ良好ナルモ極端ナル親支反日ナル本社ノ方針ニ禍サレ支那側宣伝乃至ハ北支ニ於ケル遊撃戦等ヲ誇大ニ通信スルコトアリ」と記し、能力を「甲」と高く評価している。日本軍が査定した外国人記者二十人の記者のうち、能力が「甲上」はドイツDNB通信の記者一人、「甲」はオリバーを含め三人だけである。
原著は一九三八年末現在の時点で書かれているため、日中戦争の経過を概説するとともに、陸軍省が発行したパンフレッ トを通して、日本政府が戦争の意義について国民に向けどう説明したか、その変遷をたどった。
陸軍省が発行した日中戦争に関する主なパンフレットには、『支那事変一周年に際して』(一九三八年)、『支那事変の真 意義』(一九三九年)、『支那事変下に再び陸軍記念日を迎えて』(同)『、総力戦の戦士に告ぐ』(同)、『聖戦二年半の回顧』(一九四〇 年)、『聖戦四年』(一九四一年)、『必勝の道』(同)、『大東亜戦争』(一九四二年)などがある。
一九三七年七月七日に北京郊外で起きた盧溝橋事件(中国では七七事変)を発端とした衝突は拡大し、全面戦争に発展し ていく。原著のタイトルの通り、軍事衝突が拡大していっても、日本は宣戦布告をせず、中国に対しては宣戦布告するこ となく敗戦を迎えた。(解説より)
目次
序 文
まえがき
第一章 生徒が戻る
第二章 約束された土地
第三章 北京原人から蒋介石まで
第四章 ボイコット対侵略
第五章 中国と日本 戦争に備える
第六章 交渉と侵略
第七章 「宣戦布告なき特殊戦争」の開始
第八章 南京陥落 パナイ号沈没
第九章 武士道が暴走する
第十章 「宣戦布告なき特殊戦争」続く
第十一章 川が流れを変える
第十二章 遊撃戦
第十三章 日本の占領下で
第十四章 日本の占領下で(続)
第十五章 「焦土作戦」と戦争の費用
第十六章 中国は赤化するか?
第十七章 外国人が影響力を行使する
第十八章 何のために?
解説 日中戦争と現代
著者について/戦争の経過と言説/過大評価と過小評価/戦争の呼称と歴史認識/「八年抗戦」から「十四年抗戦」へ/抗日戦争史観と対外戦略/中国とどう向き合うか
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