[プロローグ]超郊外の限界ニュータウン
不便でも安く住める地を求めて/現役の住宅地が朽ちている/探訪記への予想外の反響/現在進行形の都市問題のひとつとして
1章●限界ニュータウンとはなにか
◎空き地だらけの「ニュータウン」
売れたはずなのに空き地のまま/高度成長期の開発ブームのなかで/バブル景気でふたたび注目をあびる
◎荒れはてる共有地
陥没した道路、朽ちはてた公園/高齢化による限界と、賃貸化による低関心と/地域コミュニティの視点から
◎交通利便性ゼロの立地
自家用車以外、交通手段がない/「値段で勝負! 生活に必要な施設はありません」/場あたり的な開発の結果
◎売りたくても売れない更地
更地のほうが安いという逆転現象/マイカーは「一家に一台」時代の区画割り/昭和スタイルの造成が足かせに
[コラム]「限界ニュータウン」という呼称について
造語としての限界ニュータウン/イギリス発祥のニュータウン構想/「限界ニュータウン」と「限界分譲地」
◎ずさんな造成がもたらしたもの
「住まない宅地」の造成工事/深刻な地盤沈下や斜面の崩れ/売りっぱなしのビジネスモデル
◎悩ましい水道・ガス問題
上下水道の普及率の低さ/水道・ガスの共同設備が売りだった/土地代より高くつく設備維持費
◎放棄される分譲地
いつのまにか建築不可の土地に/放棄分譲地にゴミが集まる/行政も地域も、所有者さえも無関心
◎空き地に立つ謎の看板
遠方の業者による「売物件」看板/原野商法被害者にまじる限界分譲地所有者/売れない土地の高額査定にのせられて
◎賃貸化は活路となるか
賃貸経営に商機を見いだす投資家/住民の新陳代謝が進む要因のひとつに/未知の状況へ向かう限界ニュータウン
[コラム]地元の不動産会社社長に聞く
底値の更地も扱う業者として/売れる価格こそ適正価格/ここには、もうけ話などない
〈写真で見る限界ニュータウン〉
2章●限界ニュータウンで暮らす
◎現在の貸家に引っ越すまで
三軒目の限界分譲地暮らし/二十万円で土地を購入する/購入区画のそばに家を借りる/これまででもっとも自分にあう環境
◎限界分譲地での物件選び
中古住宅のスペックは似たり寄ったり/家屋の隣接度は要チェック/周辺環境こそ実地検分を
◎暮らしの利便性をめぐって
買い物と通信はなんとかなっている/自家用車なしではきびしい/病院と学校へのアクセスは悪い/それでもあう人はいる
◎住んでわかった特異な事情
腰をすえて整備に取り組むが⋯⋯/所有者が消滅している土地/荒れる隣地の草刈り問題/自治会とゴミ出し/側溝と排水がいかに重要か/僕が限界分譲地に暮らすわけ
◎共同インフラ問題を考える
福島県沖地震で、ある住宅団地に起こったこと/修繕の困難と、管理費徴収の困難と/別荘地にも共通する「お荷物」/悪条件込みでの新たな活用方法を
[コラム]ニュータウンで生まれ育つということ
語られてこなかった子ども世代の視点/「自分にはこれがふつうだった」/住民から見た空き地問題/若い世代の少なさが課題
3章●限界ニュータウンを活用する
◎親子二代にわたる活用リレー
七〇年代末、父親が茨城の分譲別荘を購入/こんどは千葉の分譲地をふたつも購入/地価暴落と、驚きの決断
◎定住者のいる限界別荘地
乱開発のすえの限界別荘地/別荘オーナーとなって改善に取り組む/人の手を入れつづけるということ/六十歳からの定住地として
◎限界ニュータウンで小屋暮らし
分譲地に小屋を建てる/模索してたどりついた暮らし方/持続可能な小屋暮らしを志向/北海道と千葉の二拠点生活をめざして
[あとがきにかえて]思いがけない暮らしの変化
参考資料