武器としての高等教育

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商品説明
冷戦下、CIAと関係を有していた民間のアジア財団が、日本の大学教職員や学生に対して展開した助成活動の実態と、その日本側の主体的な受容を実証的に解明する。反共という政治的意図を持ちながら、財団による支援は学生支援サービスや高等教育改革、大学人のネットワーク形成、課外活動の充実など、戦後日本の大学制度に長く受け継がれる結果を生み出した。財団の目的は達成されたのか、またその支援は日本側でどう解釈されたのかを、一次史料および当時の学生個人への直接インタビューによる調査から明らかにする。冷戦期の日米関係史と高等教育史の間を架橋し、今日の大学と国際政治の関係を考えるための新たな視座を提示する一冊。
目次
凡例
序章 文化冷戦の舞台としての大学
第1節 大学に息づく冷戦の記憶
第2節 親米日本の構築と高等教育―本書の背景・目的
第3節 世論に働きかける手段としての「広報外交」
第4節 外交史と教育史の架橋―本書の分析視座
第5節 使用する資料
第6節 本書の課題と構成
Column1 アメリカ広報外交の中の「財団」

第1章 広報外交の手段に選ばれた教育―影響経路の成り立ち
第1節 戦後アメリカの教育プログラムの中の広報外交
第2節 アジア財団と教育
第3節 高等教育向け助成の重視
第4節 日本の大学教職員と学生への助成経緯
Column2 批判をかわす「民間財団」の力

第2章 大学教職員を組織する―民主教育協会(IDE)と「教育の民主化」の受容
第1節 教職員の組織化を通じた教育の民主化
第2節 IDEの萌芽―新日本教育協会
第3節 IDEの設立構想
第4節 IDEの発展とアジア財団
第5節 民主教育の普及から高等教育の発展へ
Column3 IDEの活動からみるアジア財団と沖縄

第3章 学生支援という実験―SPSの導入と左翼化防止の試み
第1節 アメリカ発の学生支援(Student Personnel Services)の導入
第2節アジア財団によるSPS分野への助成の端緒
第3節学生支援を通じた左翼学生勢力への対抗の試み―学生問題研究所
第4節学生相談を通じた左翼学生の騒乱抑止の試み―学生相談研究会
第5節進路相談を通じた学生の左翼化防止の試み―青少年進路相談所
第6節財団改組後における学生相談分野支援の継続
第7節冷戦の武器としての学生支援
Column4 アジア財団は女子高等教育を促進したのか

第4章 組織されない学生たち―次世代リーダー輩出の試みと広報外交の齟齬
第1節学生界の東西対立と日本
第2節戦後初期の非共産主義学生とアジア財団の出会い
第3節学生団体の発展――学生報道連盟の実態
第4節学生団体とアメリカの間の亀裂
第5節学生による自立活動の模索と財団の注視
第6節広報外交の長期的効果―学生たちのその後から
第7節冷戦の武器としての学生
Column5 インタビューからたどる日米学生交流と冷戦

終章 文化冷戦の遺産としての大学
第1節アジア財団の広報外交モデル―外殻・内核構造
第2節広報外交の受け手としての日本の組織文化
第3節アジア財団の助成が遺したもの
第4節広報外交の舞台としての現代日本

引用文献リスト
初出一覧
あとがきにかえて―「学生のための大学」の中で
索引
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