キツネ憑きやイヌガミ憑きは単なる迷信なのか。
吉田禎吾はウィッチクラフト(妖術)研究の知見を踏まえ、日本各地の「憑きもの筋」を精査し、その背後に
人間関係を調整し共同体の秩序を維持する社会的機能を見出した。差別や偏見の問題とも深く結びつく主題に正面から向き合い、大きな反響を呼んだ名著を文庫化。その洞察は、現代社会に潜む類似の思考様式へも通じることを示唆する。「憑きもの信仰」は、姿を変えて今も生きている。解説=香川雅信。
【目次】
序 章 「憑きもの」に憑かれて
憑きものの魅力/社会の深層心理への踏査
第一章 憑きものの正体と特色
心的分離としての憑依現象/外国の憑きもの/望ましい憑霊と望ましくない憑霊/家系と結びつく日本の憑きもの/人と動物霊/キツネの正体/イヌガミの正体/蠱道との類縁/オサキの正体/憑きものと性/憑きもの落とし/憑きものの予防
第二章 憑きもの筋
結婚のタブー/ナマヅル/憑きもの筋の形成/江戸中期に発生か/隠岐の人狐の話/冨をつくる憑きもの/ 筋と階層/筋の伝播(山陰・四国)/縁切り/筋の伝播(関東)/憑きものの内在性と外在性/家系・血筋をひく妖術/筋の集団化
第三章 憑きものの社会的意味
死霊が憑く/祖霊と親族/憑く憑かれるの関係/社会的潤滑油/憑きものと村落社会/家単位の憑きもの現象/イギリスの妖術との比較/憑く人の特徴(日本)/憑く人の特徴(外国)/憑かれる人の特徴/社会統制の機能/不幸を説明する機能/嫉み深い憑きもの/村落構造の維持機能/妖術の盛んな社会の特色/憑きものの社会的条件/憑きもの筋の持続
あとがき
注
解説・・・・・・香川雅信