戦国時代の九州、なかでも肥前国島原・有馬地域では、キリスト教の布教が急速に進み、南蛮貿易をめぐって戦国大名の思惑が交錯した。その陰で、古来より信仰を集めてきた雲仙普賢岳の修験道とキリスト教との間にも、激しい緊張が生まれていた。
本書は、大友宗麟、龍造寺隆信、島津義久、有馬晴信らの覇権争いを、領国支配と旧来の宗教、キリスト教との関わりから捉え直す。信仰と権力が織りなした九州戦国史の知られざる一画を描き出した一冊。
原著『修験道とキリシタン』を改題し、待望の文庫化。
【目次】
はしがき
序章 温泉山信仰の概要
第一章 中世の温泉山と島原半島の寺院
(1)中世文書にみえる温泉山修験
(2)河原道音と板碑および女人堂
(3)島原半島の寺院と寺跡
(4)フロイス『日本史』にみえる寺院
第二章 キリシタンの伝来と温泉山修験
(1)宣教師がみた山伏
(2)宣教師がみた陰陽師
(3)宣教師がみた有馬領と温泉山
(4)温泉山修験とキリシタンとの交渉
第三章 キリシタン大名の寺社破壊
(1)有馬晴信の温泉山破壊
(2)大村純忠の多良山破壊
(3)大友宗麟の寺社破壊
第四章 薩摩島津氏の温泉山再興
(1)島津氏の有馬領新出
(2)島津氏の神仏信仰
(3)薩摩の修験道
(4)宣教師と薩摩山伏
第五章 キリシタンの伝来と仏僧の抗争
(1)島原の三大寺院
(2)島原の法然寺と浄土宗の発展
(3)仏像の破壊と加津佐の岩戸山
(4)抗争の背景
第六章 温泉山修験と補陀落渡海および伊勢信仰
(1)補陀落渡海の諸相
(2)宣教師がみた補陀落渡海
(3)有明海における補陀落渡海
(4)温泉山修験と伊勢御師
あとがき
文庫版あとがき